痔を「切らずに治す」肛門科医院

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「安心」に平田院長の解説が掲載されました

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切らずに治す痔の名医直伝!いきまず出せる排便ポーズと快便のお勧めドリンク




痔は生活習慣病 セルフケアで大きく改善

近年、痔の治療に関する考え方が大きく変わってきています。旧来の治療法では、痔は「切って治す」ものでしたが、最新の考え方では、痔は「できる限り切らずに治す」がメインになっています。

もちろん、今も、手術を必要とする痔はありますが、割合からいえば、ごく少数です。

最も患者数が多い痔の患者である「痔核(いわゆるイボ痔)」のうち、約9割は手術なしで治すことができます。セルフケアをきちんと行うことで、切らずに治せるのです。

痔は、現在では、高血圧や糖尿病と同じような生活習慣病の一つと見なされるようになりました。高血圧や糖尿病をよくするには生活習慣の改善が欠かせません。それにより、初めて根本的な治療が可能になります。

痔についても、まったく同じことが当てはまります。私は、肛門科の専門医として、年間12000人の患者さんたちに生活習慣改善のためのセルフケアを指導し、大きな成果を上げています。

痔という病気は、肛門周辺の炎症がきっかけで起こります。汚い老廃物であり、かつ、アルカリ性の便は、肛門の皮膚にとって炎症を引き起こす攻撃因子ですが、通常は肛門に局所免疫(体のある部分で働いている、病気への防御反応)が働いているため、炎症を起こしません。

ところが、全身の免疫力が低下すると、肛門の局所免疫がじゅうぶん機能しなくなり、肛門に炎症が生じ、それが痔を引き起こすのです。

和式のような前かがみ姿勢での排便がお勧め

日常生活で炎症の原因となる要因は①便通の異常②肉体疲労③ストレス④冷え⑤飲酒⑥整理⑦座業の七つがあります。

痔の予防・改善のためには、日常生活で、肛門に炎症を起こすこれらの要因を、できるだけ少なくするように心がける必要があります。

中でも、便秘や下痢などの便通の異常は、痔を引き起こす最大の要因です。

腸内環境をよくし便通を整えるために、私は患者さんに、積極的に食物繊維をとることを勧めています。特にお勧めなどが、「きな粉ドリンク」です(作り方は左上参照)。

きな粉は、100g中に、16.9gもの食物繊維を含み、全食品中でも、トップクラスの量です。

しかも、きな粉には不溶性と水溶性の両方の食物繊維がバランスよく含まれています。水溶性食物繊維が腸の働きを高めて、便通をよくしてくれるのです。

朝、起き抜けにコップ1杯のきな粉ドリンクを飲む習慣をつけましょう。朝の空っぽの胃に飲食物が入ってくると、その刺激が自律神経(意志とは無関係に体の機能を調整している神経)を通じて、大腸に伝わり、大腸がぜん動運動を起こします。

これを「胃・結腸反射」といいます。これによって、強い便意が引き起こされるのです。こうして便意が生じたら、直ちにトイレに行き、排便をするといいでしょう。

排便をする姿勢も、重要です。実は、和式トイレに座るときの姿勢のほうが、様式トイレに座った姿勢よりもずっと便が出しやすいのです。

洋式に座って、状態を起こすと、直腸と肛門が「く」の字型に曲がってしまうため、便がスムーズにすすみにくくなります。一方、和式で排便する場合、状態が前かがみになりますから、直腸と肛門も角度がなだらかになり、便が肛門に向かいやすいのです。

洋式トイレでも、和式トイレのように座ることは可能です。前かがみになり、ひじをふとももの上に乗せ、かかとを軽く上げましょう。

こうすると、直腸と肛門の角度が開き、より真っすぐに近くなります。それでもなかなか出ないかたは、さらに足元に踏台を置いて足を上げ、軽い体育座りのようなポーズを試すといいでしょう。

それから、パソコンに向かって1日仕事を続けている人や、パソコン以外の仕事でも、長時間座り続けている人は、できれば座業を一定時間ごとに中断し、立ち上がって歩きましょう。

長時間座り続けていると、肛門は心臓より下にある為、肛門周辺の血液が滞り、うっ血が起こります。このうっ血が炎症の原因となり、肛門に痛みや違和感をもたらすのです。

また、立ち上がって歩けば、使っていない足の筋肉を使うことになります。それが、足にたまった静脈血を心臓に戻す働きもしてくれます。

そのためにお勧めしたいのが、「10m歩き」です。1時間座ったら一度立ち上がり、最低10mは歩きましょう。

私は患者さんに1時間ごとに鳴るようにタイマーをセットし、そのたびに15~20歩、必ず歩いて「うっ血解消タイム」を設けるように指導しています。

こうしたセルフケアを続け、生活習慣をよくしていけば、痔の予防・改善にきっと役立てることができるはずです。

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「夢21」に平田院長の解説が掲載されました

「夢21 便秘・痔自力ケアでスッキリ解消」に平田院長の解説が掲載されました




「痔の手術は死ぬほど痛い」は昔の話!痔を切らないで縮小させる新ICG併用半導体レーザー照射術




内痔核にピンポイントでレーザーを照射


「痔の手術は、あらゆる手術の中で、最も痛い」といわれます。しかし、最近は新しい手術法が開発されたこともあり、痛みも以前ほど強くなくなっています。

また、入院期間も長くなると思われがちですが、今では痔の手術のために2週間以上入院するケースは、ほとんどありません。

「痔の手術は痛い」「入院期間も長い」という思い込みは、正しい治療を妨げることにつながります。そのため、痔の手術について正しく理解することが大切です。

痔の手術で痛みを軽減したり、入院期間を短くすることの大きく寄与しているのが、医療用レーザーです。

医療では、レーザー光線の持つ熱作用や切断作用を利用し、手術でメスとして使ったり、患部に照射して腫瘍を焼いたりします。痔の場合は、内痔核を切ったり、焼いたりするときにレーザー光線が使われます。メスで切り取るのに比べ、傷を最小限に抑えられるのがレーザー光線の利点でしょう。

しかし、高出力でレーザー光線を照射すると、その下にある内肛門括約筋までダメージを受けかねません。内肛門括約筋が傷つくと手術後に痛みが現れるばかりか、肛門が狭くなったり、肛門の締まりが悪くなって便もれが起こったりします。

そうした問題を克服するため、新しく開発された痔のレーザー手術が、「ICG併用半導体レーザー療法」です(以下、新レーザー手術と呼ぶ)。

ICG(インドシアニン・グリーン)は、肝機能の検査に用いる人体に無害な色素で、レーザー光線を吸収し、熱を劇的に増幅させる性質があります。

新レーザー手術では、こうしたICGの性質を利用して内痔核を小さくします。内痔核にICGを注射し、レーザー光線を照射してピンポイントで熱を誘発し、退縮させるわけです。これなら、内痔核の下にある内肛門括約筋が傷つく心配はありません。

患者さん全員の内痔核が縮小


新レーザー手術では、まず、患者さんに手術台の上でうつぶせに寝てもらい、腰椎(背骨の腰の部分)に麻酔を行います。麻酔が効いてくると肛門の緊張が解けるので、開いて手術に必要な視野を確保します。

次に、内痔核にICGを正確に注入したあと、半導体レーザー光線を照射します。

このときに照射するレーザー光線は低出力で、皮膚に当たってもほんのりと湿度を感じられる程度にすぎません。それがICGの作用で増幅され、内痔核が熱で変性(性質が変わること)するのです。

レーザー光線を照射する時間は1ヶ所につき約1分。内痔核の表面が白くなったら照射を止め、手術は終了になります。手術にかかる時間は全体で15分程度です。なお、痔ろうや肛門狭窄を合併している場合、別途その処置も併せて行うため手術時間は長くなります。

手術後、内痔核は、自然に退縮して小さくなります。

新レーザー手術では腰椎麻酔を行うため、5日ほど入院が必要です。

また、レーザー光線の照射で内痔核の粘膜がただれているので、入院中は出欠や痛みの有無を確認しばければなりません。他の病気を合併している場合は、入院が延びることもあります。

とはいえ、括約筋を傷つけず、内痔核も切らないため、麻酔が覚めたら歩けて、食事もとれます。手術後2日めには、排便も入浴もできます。

ただし、新レーザー手術は、内痔核が完全に消減するわけではありません。Ⅲ度(排便時に脱出し、指で押さないと戻らない)以上に進行した内痔核を1度(排便時に脱出しない)に戻ることを目的とした手術法です。ですが、日常生活に不便がないレベルまで、内痔核を小さくすることができます。実際に、当院で新レーザー手術を受けた患者さん572人は、全員が1度まで内痔核が縮小しています。

手術後は、内痔核が再び悪化しないように、2か月に1度、再診を受けてもらいます。新レーザー手術は未だ保険適応がないので、費用は、手術費・入院費を合わせ、5日間の入院で約35~40万円です。

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「風まかせ」に平田院長の解説が掲載されました

「風まかせ」に平田院長の解説が掲載されました




痔 決してバカにするべからず。放置すると生命にも関わる。




このページを開き、“痔”という言葉を目にしたとき。思わず「ハハハ、痔か」というリアクションをしてしまった人は多いのではないだろうか。しかしながら、バイクという乗り物はシートに座って運転しなければならない。痔という病気は、ライダーにとって間違いなく、大いなる敵となる。敵を正しく知ることは、とても大切だ

まずは基礎知識から勉強していこう

風邪をひいた。あるいは、どこかしら怪我をした。 そういった身体のトラブルであれば、誰しもすぐに自分の症状を周囲の人々に知らせるだろう。必要とあらば病院に行くし、治療に向かって積極的に努力するはずだ。しかし、“痔”となると、途端にハードルが高くなると感じる人は多いのではないだろうか。何せ肛門のトラブルであるから、まずは恥ずかしさが先に来る。仕事を休むのなら誰かに病状を伝えなくてはならないが、その情報は「できるだけ広まってほしくない」というのが人情というものだ。できれば考えたくない事態なので「大丈夫、まさか俺が痔になんてなるわけがない」と、むりやり思い込んでいる人もいるのではないだろうか。

しかし、痔は決して特殊な病気ではない。現代人はパソコンなど“座っての作業”が増えているそうだし、生活習慣病の側面が非常に大きい。そもそも痔は、人類が二足歩行をするようになってからの宿命である、という説もあるくらいだ。誰しも発症する可能性があるのだから、決してバカにしていいものではない。たとえば「バイクのシートに座るだけで痛みを感じ、ちょっとしたきっかけで肛門から出血してしまう・・・」なんてことになったらどうだろう。ツーリングが満足に楽しめなくなることは、想像するに難くない。文字どおり、座視できない病気だということがわかるのではないだろうか。

そこで、今回の特集においてもぜひ“痔”を取り上げておきたいのである。企画に協力いただいたのは、世界的な痔の権威で、さまざまなメディアでも活躍中の平田雅彦医師である。痔に関する基礎知識をはじめ、治療法や予防法、そしてバイクに乗るときの注意点などをうかがった。

肛門の構造

“痔とはどんな病気なのか?”を知るために、そもそも肛門とはどのような器官なのかを知っておく必要があるだろう。肛門とは、いわゆる“穴”の部分から3cmほどの部分を指し、正しくは“肛門管”という。そして肛門のふち部分から1.5cmほど奥にあるギザギザの線が歯状線だ。この線から奥は大腸と同様に自律神経の領域なので痛みは感じにくい。その一方、歯状線よりも出口に向かう部分は皮膚と同様、痛みにも敏感だ。痔は、歯状線の内側にも外側にも発生する。つまり、どこに痔ができたかによって痛みや症状は異なるというわけだ。


大きく分けると、痔は3種類。


痔核

痔の中でもっとも多いと言われているのが“痔核”だ。平田医院の場合、痔で相談に来る男性患者のうち、約6割が痔核だという。原因は、便秘などによるいきみすぎで肛門の血流が悪くなり、うっ血が起こること。これにより血管の結合組織が破壊され、動脈瘤(りゅう)のような痔核ができてしまうのだ。痔核が大きくなると肛門から脱出し、症状が進むと指で押しても戻らなくなる。

■痔核とは
痔核とは、肛門周囲の動静脈瘻の一種。いわゆる“イボ痔”というやつでもある。このイボが歯状線の奥にできれば内痔核。手前にできれば外痔核呼ばれる。内痔核は歯状線の奥なので痛みはないが、外痔核は当然ながら痛む。そして、そもそもが動静脈瘻なのでちょっとしたきっかけで出血してしまう。

裂肛

裂肛とは、いわゆる“切れ痔”と呼ばれるもの。肛門上皮が切れて裂けることで、痛みや出血を伴う症状が発生する。最大の原因は便秘だが、慢性的な下痢に陥ると肛門上皮が常にゆるい便にさらされて粘膜が傷つき、裂肛となることもある。いずれにせよ歯状線よりも外側の部分に発生するので、痛みも激しいことが多い。その他の症状としては、出血、違和感、分泌物などがある。

■裂肛とは
裂肛は歯状線よりも外の部分に起こり、この部分は弾力性や血流もあまりないため、少しの刺激でも切れやすい。症状が進むと排便時はもちろん、何もしていないときでも痛みを感じる。また、切れ目の炎症により、肛門ポリープや“みはりいぼ”ができることもある

痔ろう

歯状線の外には“肛門腺窩(こうもんせんか)”というくぼみがあるのだが、体の免疫力が低下するとここが炎症を起こし、膿が体を侵食しながら瘻管という通路を作り始める。これが痔ろうで、瘻管は肛門周辺から顔をのぞかせることもあれば、陰窩付近に出てくる場合もある。痔ろうは放っておいても自然に治ることはない(むしろ悪化することもある)ため、絶対に手術が必要だ。

■>痔ろうとは
瘻管がどんどんトンネルを伸ばして、最終的には体のどこかに穴を開けて貫通させてしまう。腫れや膿、痛みや発熱なども激しく、最悪の場合は肛門がんの引き金にもなってしまう。他の二つを比べると、もっともやっかいなのが痔ろうといえるだろう。


痔にまつわる、さまざまな誤解



恥ずかしさもあって語る人が少ないから、痔という病気には誤解も多い。 それらを解消することが、敵を知るための第一歩と言えるだろう


誤『痔の手術は、非常に痛い』

件数は少ないとはいえ、痔核・裂肛での手術ということもある。・・・となると「痛そうだ」と思ってしまうのが普通だろう。しかしながら、近年では新しい治療法も確立されており、患者の負担は従来よりもグンと少なくなっているそうだ。その治療法とは“ICG併用半導体レーザー”といい、もともとはがんの治療に用いられていた治療技術だという。ICGという液体を痔核に注射し、半導体レーザー光線を照射すると、ICGの性質によって痔核のみが焼かれる。痔核の下にある肛門括約筋をいっさい傷つけないので、出血や痛みが極めて少ないのだ。この手術によって痔核を小さくすることができるわけだが、一度小さくなった痔核が大きくなってしまったという患者はほとんどいないという。ちなみにこのICG併用半導体レーザーは内痔核に対する手術法で、外痔核には対応できないのだが、ともかく昔に比べると大きな進化であることは間違いない。少なくとも、痔の手術が他と比べて特別に痛いというのは誤解と言うことができるだろう。

■>近年、レーザー照射も確立
排便のたびに痔核が飛び出してしまう内痔核患者572人にこのレーザー照射法を施した結果、手術後も痔核が飛び出す症状を訴えた人は誰もいなかったという。そのくらい効果が期待できる手術法なのだ。


誤 『痔の治療には手術が必要』

“痔=手術で治す”というイメージを持っている人もいるかもしれないが、平田医師によると「実は手術が必要な時は非常に少ない」のだとか。痔ろうだけは100%手術が必要だが、そもそも痔のタイプとしてもっとも多いのは“痔核”。平田医院の場合、患者の約5割が痔核であり、痔核と裂肛は手術をしないケースが圧倒的に多いという。「便秘やアルコール、香辛料の取りすぎ、長時間同じ姿勢を続けることなどが痔核の原因となります。つまり生活習慣病なので、生活習慣をあらためれば改善することがほとんど」とのことで、痔核や裂肛で手術をするというのは、むしろめずらしいケースなのだ。手術や入院となると、少なからず仕事への影響が出てしまう。それを考えると「ほとんどの場合は手術なしで治る」というのは、朗報と言えるのではないだろうか。もちろん、痔ろうだった場合は絶対に手術が必要なので、いずれにせよ早めに専門医に診せることが大切ということだ。

■>手術を要する痔は少ない!
痔核・裂肛でも手術するケースはあるが、件数としては非常にレア。どちらもほとんどの場合は保存療法(手術なし)で治すことができる。 1万5,000人以上の患者統計データを調べてみると、もっとも多かったのが、痔核で、約6割にも達する。絶対に手術を要する痔ろうは、わずか13%なのだ。

誤 『痔で死ぬことはない』

患ったことのない人からすれば「しょせん、肛門の病気だろう」という思いがあるかもしれない。「痛いとか不快とかはあるだろうが、死ぬような病気じゃない」と・・・。しかし、こういった認識は今すぐに改めた方がいいだろう。痔ろうを放置すると、炎症が続くことによって肛門がんを引き起こしてしまうこともある。さらに「痔だと思っていたら、実は大腸がんだった」というケースもあるとのこと。大腸がんは、近年患者数が増えているがんとしても有名だ。食生活や不規則な生活などが原因とされているが、いずれにせよ大腸がんの患者数は45歳~49歳くらいの年代から増加していくため、風まかせ世代としては要注意。平田医院は「45歳を超えたら、特に症状がなくても2年に1回は検診を受けましょう」と強調する。「特に長年、痔を患っている人は出血を痔のせいにしてしまうことも多い。便に血が混じっていても、痔による出血なのか大腸がんによるものなのか判断がつきにくい。そのため定期的な大腸がんの検査が大切なのです」

■>大腸がんの可能性も
グラフを見てのとおり、まさしく大腸がんは風まかせ世代からが増加する。そんな可能性もあることを念頭に置き、痔を甘く考えないようにしたい


痔の予防法と改善法

痔という病気は、生活習慣の改善によって予防・改善できる部分がかなり大きい。痔を悪化させる要因は、ストレス・飲酒・便秘や下痢・肉体疲労・冷え・・・といった要素なので、これらは意識改善によって変えられる部分がかなり含まれているのだ。たとえば食事は、食物繊維を積極的に摂るように意識することで便秘の予防になり、つまりは痔の予防にもなる。その他、乳製品やオリゴ糖など、腸内環境を改善することも意識したい。

またその他の日常生活においては「私たちは基本的に、1時間以上座ってはだめと言っている」と語る平田医師。現代人はパソコンなどデスクワークが増えているわけだが、1時間に1回は席を立って、10mほど歩くことをお勧めしているそうだ。これだけでも、痔の症状を改善できるという。また平田医師がもう一つお勧めするのが、“お尻の穴をキュッと締めて緩ませる”という動作。この動作を1日10回繰り返すことでも、肛門の体操になる。ベッドで寝ていてもできるし、肛門周辺の筋肉や血管を鍛えれば、うっ血や動静脈瘻を防ぐことにもつながる。日々の努力で、痔の予防を心がけたいものだ。

痔になっても、ツーリングには行けるのか?


対策 事前に準備を整え、座薬などもうまく活用する。

ここまで、痔の基礎知識について平田医師にいろいろと解説してもらってきたが、ライダーとして気になるのはやはり「なってしまったらどうなるのか?」ということだろう。バイクには乗れるのか、ツーリングはあきらめざるを得ないのか・・・?これについて平田医師は「できる限り、患者さんの趣味に応えてあげたい」と語る。もちろん、症状や個人差によるところが大きいので一概には言えないが、「すべての人が絶対に無理」というわけではないのだ。

ここまで、痔の基礎知識について平田医師にいろいろと解説してもらってきたが、ライダーとして気になるのはやはり「なってしまったらどうなるのか?」ということだろう。バイクには乗れるのか、ツーリングはあきらめざるを得ないのか・・・?これについて平田医師は「できる限り、患者さんの趣味に応えてあげたい」と語る。もちろん、症状や個人差によるところが大きいので一概には言えないが、「すべての人が絶対に無理」というわけではないのだ。

ツーリングの数日前から準備を整えておくことも大切だ。「趣味を楽しむ日は座薬を持っていくという人もいます。それも一つの手ですよね。ゴルフを楽しんでいる人の中には、前日と当日、そして当日の夜には座薬を入れているという人もいます。要は、炎症が起きるのを予測しておくということです。常に先を読んで、準備をしておけばいいんです。そういうアドバイスをするのも医者の役目ですから」と語る平田医師。決して“痔=ツーリングは無理”というわけではないのだ。

対策 マスツーリングの場合は、“トイレタイム”を考慮。

「ツーリングは複数台で走ることが多い」という人もいることだろう。・・・となると、心配になってくるのがトイレ問題である。痔の場合はどうしてもトイレに時間がかかるし「みんなのペースを乱しては申し訳ない」という心理が働くので、行きたいのにガマンしてしまうことが考えられる。ガマンすると便が固くなってしまうので、これは痔にはよくない。あらかじめ排便を済ませてから参加するとか、他のメンバーよりも集合場所に早く着いておくとか、何かしらの対策をしておいた方がいいだろう。もちろん、ソロであればまったく考慮しなくてもいい問題なのだが「仲間と走るのが好きだ」という人は、ツーリング計画時にトイレ対策についても考えておこう。

そしてそれ以外にも、お酒を控えるとか睡眠不足に注意するといったことも、当然ながら大切だ。日ごろから注意していれば、1泊ツーリングの夜に仲間と軽く一杯やるといレベルなら問題ない。要は、“準備が大切”ということなのだ。


事前の心がけが大切。



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「安心」に平田院長の解説が掲載されました

「安心」に平田院長の解説が掲載されました




人に言えない、聞けない″アソコ″の悩み! 『安心』相談室⓯




<<読者質問>>

【おしりからイボが飛び出す】

出産を機に、トイレでいきんだときなどに肛門からイボのようなものが飛び出るようになりました。最初は自然に戻っていたのですが、年を取るにつれて戻りくくなり、痛みを感じるようにもなりました。こうなると、手術など大がかりな処置をするしかないのでしょうか?(50代女性)



<<平田院長回答>>

【88%は手術せずに治せる】

ご相談の「イボのようなもの」は、肛門の内側にできる内痔核(いぼ痔)でしょう。女性は、妊娠・出産をきっかけに、「痔持ち」になるかたが少なくありません。

妊娠中は子宮が大きくなって直腸を圧迫します。その結果、直腸や肛門周辺に集中している細かい静脈がうっ血して、内痔核ができやすくなります。分娩のときにいきみ、腹圧がかかると、内痔核が肛門の外に脱出する「脱肛」が起こります。

内痔核は、自律神経(血圧や鼓動など意志とは無関係に体の機能を調整する神経)が支配している肛門粘膜で発生するため、通常は痛みを感じません。

ところが、脱肛すると、痔核の根本が、肛門の括約筋(肛門の開け閉めにかかわる筋肉)でしめつけられてうっ血します。ここに便や下着の刺激が加わると、痛むようになります。

また、トイレでいきむと肛門出口の皮膚が裂け、切れ痔を合併するため、座っているだけで痛みが出ます。

内痔核は症状の度合いによって、四つのステージに分けられています。

ステージ1:排便時に出血するが、内痔核の脱出はない。
ステージ2:排便時に内痔核が脱出するが、排便後に自然と戻る。
ステージ3:排便時に内痔核が脱出し、指で押さえないと戻らない。
ステージ4:排便に会計なく、内痔核が脱出しっぱなしになる(嵌頓痔核)。

相談者のかたは、指で痔核を押し込んでも戻りにくいということなので、ステージ3からステージ4に進んでいる可能性があります。ステージ3以降は、手術の適用となります。しかし、脱肛した内痔核の炎症が強く、出血が止まらないなどのケースを除けば、緊急に手術を行う必要はないので、落ち着いて対処しましょう。

当院では、3ヵ月間、消炎剤による薬物治療と、生活改善を指導します。すると、3ヵ月後、88%のかたは炎症が治まり、内痔核が小さくなります。手術が必要なかたは12%です。

仮に手術になっても心配は無用です。今は負担の少ない術法もあります。例えば、「肛門括約筋保護手術」は、内痔核だけを除去し、正常組織を傷つけない術式です。再発はなく、後遺症もありません。入院は必要ですが、翌日には診察室まで歩くことができます。 「ICG併用半導体療法」は、レーザーを照射して、内痔核を小さくする方法です。痛みや出欠もなく、再発もほとんどありません。

内痔核は3ヵ月で小さくなる


先にお話ししたように、内痔核の多くは生活改善でよくなっていきます。いくつか大切なポイントを挙げましょう。

●便秘の予防、改善を心がける

便秘になると排便のときにいきんで腹圧がかかり、内痔核ができたり、悪化しやすくなります。トイレタイムは3分までにすると肛門に負担がかかりません。

食事は便秘予防の基本です。豆、野菜、海藻などを食べ、食物繊維をしっかりとりましょう。みそ、しょうゆ、ぬか漬けなど発酵食品は、腸内の善玉菌が増えて便通が整い、肛門内部の炎症を鎮めます。

腸のぜん動運動を活発にして、便通を整えるうえで、運動も大切です。毎日1時間を目標に、ウォーキングを行ってください。少し遠回りして買い物に行くなどして、歩く時間を増やすだけでも効果があります。

●肛門周辺のうっ血を防ぐ

内痔核の発症や悪化の原因となる肛門周辺の血管のうっ血を防ぐために、体を冷やさないことと、イスに座り続けないことも重要です。夏の外出時は、はおりものを持ち歩いて、エアコンによる冷えを防ぎましょう。

また、家ではキッチンタイマーを1時間にセットし、鳴ったら立ち上がって10m歩きましょう。心身の疲労も痔の悪化要因になります。リラックスする時間を作り、よく眠るようにしてください。

ところで、今回のご相談のかたは、お話の内容から内痔核からの脱肛と考えられますが、実は、肛門から出てしまうのは、内痔核だけでありません。

直腸が出る直腸脱やポリープの脱出、直腸がんにも見られます。肛門に異常を感じたら、まず肛門科で診察を受けましょう。可能であれば、日本大腸肛門病大学会に所属している専門医の受診をお勧めします。(*)。

そのうえで、内痔核と診断されたら、生活習慣の改善を3ヵ月続けてみてください。



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「毎日新聞」に平田院長の解説が掲載されました

「毎日新聞」に平田院長の解説が掲載されました

「きょうのセカンドオピニオン」のコーナーにて平田院長の解説が掲載されました。



<<読者質問>>

【がん手術後の便秘で困る】

8年前に大腸がんの手術をしました。2年前から便秘で下剤を飲んでいますが効果のない時があります。ジム通いもしています。改善方法はありますか。(山口県、男性、77歳)



<<平田院長回答>>

【下剤より運動、食事で】

まず手術の影響を検討する必要があります。大腸がんなど腹部の手術をすると腸がくっつき合って細くなることがあります。普通の便秘であれば食物繊維をとることを勧めますが、腸が細くなっている場合は、腸閉塞になる可能性があるので、食物繊維をたくさん取るのは勧めません。

手術と関係ない場合は、直腸に便がたまっているのに便意を感じなくなる「直腸性便秘」、あるいは腸の内容物を送り出すぜん動運動が弱まって起きる「弛緩性便秘」などが考えられます。弛緩性便秘は年齢とともに増えます。

直腸性便秘に良いのは和式トイレです。カラダが前傾姿勢になると直腸がまっすぐな状態になるので排便しやすくなります。洋式でも少し前傾で座っていみるといいでしょう。

弛緩性便秘は腹筋をつけるのが一番です。ジムで運動したり、歩いたりするのが良いです。ジムに行かない日でも毎日5000歩程度は歩きましょう。

食事についてはビフィズス菌を増やすヨーグルトや、みそ、納豆、塩こうじ、甘酒、つけものなど発酵食品を取るのがいいと思います。ビフィズス菌の生菌は医師から処方を受けることもできます。

日本内科学会の定義によると、便秘とは3日以上排便がないか、毎日排便しても便が残っている感じがある状態です。下剤を使った排便は根本治療にはなりません。下剤を減らす意識を持ち、ビフィズス菌の生菌や軟便剤などを使い、できるだけ自力で排便するようにしましょう。



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「読売新聞」に平田院長の解説が掲載されました

「読売新聞 朝刊」に平田院長の解説が掲載されました

「読売新聞」(2017年1月29日)の「からだの質問箱」のコーナーにて平田院長の解説が掲載されました。



<<読者質問>>

【長年続く痔で肛門が細く】

50代の頃からいぼ痔、切れ痔が時々あります。最近、切れ痔で痛みが増し、病院で「肛門が細くなっている」と言われ、手術を勧められました。今、手術するべきでしょうか。(78歳男性)



<<平田院長回答>>

【薬で3か月治療 大半が改善】

腕などをナイフで切ると、傷口の周りがひきつれて治ることを経験します。肛門は円なので、切れ痔が治る過程でひきつれて治ると、少しずつ狭くなってしまいます。質問者は20年以上、肛門が切れたり治ったりを繰り返し、肛門が狭くなってしまったのだと思います。

しかし、肛門は括約筋で締めることができます。切れ痔があったり、炎症があったりすると、肛門は無意識に強く括約筋を締めてしまい、肛門が狭いと感じてしまいます。この場合は、炎症や切れ痔が治ると、括約筋の緊張がとれて肛門が広がります。

当医院に肛門狭窄(きょうさく)の診断で来院した患者さんを薬で3か月間治療すると、82%の患者さんは肛門が広がり、肛門拡張手術を受けた患者さんは18%でした。長年、切れ痔を繰り返し、肛門が狭くなっても3か月間、薬で治療をすれば広がる可能性は十分にあります。

まず薬で治療し、その後、手術について決めても遅くないと思います。3か月間たっても肛門が狭ければ初めて手術の話になります。

手術は、内肛門括約筋を側方で切開する方法(LSIS法)と、神経と血管を付けたまま皮膚を肛門内に移行する皮膚弁移行術(SSG法)があります。

LSIS法は局所麻酔で通院で行えます。ただし括約筋を切開するので、その時は症状が消えても、年月を経て括約筋が弱くなった時に便が漏れる可能性があります。SSG法は入院が10日ほど必要ですが、括約筋の機能を損なわないので安全で確実な方法です。



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「東京スポーツ新聞」に平田院長の解説が掲載されました

「東京スポーツ新聞」に平田院長の解説が掲載されました

「東京スポーツ新聞」(2016年11月15日)に平田院長の解説が掲載されました。

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【痔との上手な付き合い方 前編】

受診=即手術ではない 約88%の人が共存している


痔の認知度は100%と言われるほど極めて高い。それは”日本人の80%は痔主”だからだろう。そして、その痔主さんたちは我慢し続ける人が多く、「痔は手術をするもの」という考えがまかり通っている。が、それは大きな間違いだ。そんな痔との上手な付き合い方について、3回にわたってお届けする。

痔で困って肛門科を受診すると、患者はほとんどが手術となるのだろうか…。「男女共に痔の中では”イボ痔”と言われる『痔核』に悩む方が多い。出血や肛門からの脱出を訴えて受診されます。そこで、すぐに手術するのではありません。手術を行うの時期を判断するために痔の症状を1か月ごとに評価しながら、3か月間の生活指導と投薬を行って経過を見てから、手術するかどうかを決めます」と話すのは、痔の治療で知られる平田肛門科医院(東京都港区)の平田雅彦院長。

そして、その結果は「約88%の方は手術することなく痔と共存できます。ただ、私の所とは違い、十分な説明もなく手術をする所もないわけではありません。だから、”なぜ私の痔に手術が必要なのか”、これは必ず医師に聞いてください。そして納得して手術は受けるべきでしょう」。

手術も行われる日本人に多い痔は、大別すると「痔核」、”切れ痔”の「裂肛」”穴痔”の「痔瘻(ろう)」の3つになる。男女共に痔核に悩む方が約60%と多い。

「悩める人が多い痔核は肛門周囲の動静脈にできた動静脈瘤の一種です。血管と結合組織が肛門内に盛り上がり、垂れ下がってできたものです。そして、できる場所によって『内痔核』と『外痔核』に分けられます。肛門は長さ3センチ程度で、その中間部分に歯状線があります。その歯状線の内側にできると内痔核で、外側にできると外痔核です。内痔核は通常痛みを感じません。そのため出血や脱出によって初めて気づくことが多い。一方外痔核は痛みを感じる部分にできるため、激痛を伴います」

内痔核で手術となると、やはり体に優しい手術が選択される傾向にある。

「私の所ではA『肛門括約筋保護手術+結紮(けっさつ)手術半閉鎖法』とB『ICG(インドシアニン・グリーン)併用半導体レーザー手術』を行っており、患者さんの選択は半々です」

Aの手術は、内痔核を完全に取り去る一方、内痔核の隣にある肛門括約筋は傷つけず、切開した肛門粘膜も自然にとけて抜糸する必要のない糸で縫うので、正常組織は全くダメージを受けることがない。Bの手術はICGがレーザー光線を吸収する性質を利用した治療法。ICGを切除する痔核のみに注入し、そこに半導体レーザーを照射。すると内痔核だけが消失するのである。

「裂肛の場合は痛み、出血、違和感などがあるものの手術になるのは約5%に過ぎません。95%は生活習慣の改善や薬剤の投与で治ります。手術になる5%は患部が潰瘍化して肛門が狭くなり、排便時の苦痛が強くなるような場合です」

このように痔核も裂肛も手術は極めてまれである。が、痔瘻はそうはいかない。

「痔瘻はお尻が腫れて激しく痛み、うみが出てくるという症状が繰り返し起こります。薬では治りにくいだけではなく、肛門がんになることもあるので、手術が基本です」

このように、痔の治療もより体に優しい治療の選択の時代になってきたのである。


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「昭和40年男」に平田院長の解説が掲載されました

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その1 日本人の約1/3を悩ませる痔。


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あまりに多くの人々を悩ませる続ける、痔という強大な敵。
まずはこの病気の実体を知り、正しい知識の土台を作っていこうではないか。

歴史上、人類にとって脅威であり続けてきた”痔”。今や日本人の3人に1人は痔を患っているとも言われるほど、悩ましい病気である。かつて、夏目漱石は小説においてまで痔の苦しみを表現し、野口英世だって知人への手紙に痔で安眠できないとしたためた。加藤清正や松尾芭蕉、ルターにマーラーだってそうだ。世界中、多くの偉人、著名人たちも痔を患い、あまりのつらさにその苦しみを記録に残した。

普段はしっかりと便の漏れを抑えてくれている肛門様。それなのに排便の直前には、中枢神経や肛門括約筋などさまざまな身体機能が働いて、見事、大きなウンコを送り出す。つくづく肛門とは、都合よく開閉してくれるものだなあと感心してしまうほどだ。だが、それだけ活躍してくれる反面、トラブルも抱えやすい。裂けたり、膿みが出たり、狭窄したり。お尻の穴はさまざまな原因によって、人間を苦しめるのである。

それにしてもこれだけ悩ましい痔の本質を、我々はあまりにも知らない。病院に行けばすぐ手術されてとんでもなく痛い思いをするとか、痔から死に至ることなんてないとか。我々の多くは、こうした先入観を抱いているはずだ。

果たして本当のところはどうなのだろう。世界的な痔の権威、平田雅彦医師はこう説明する。

「痔は痔核、裂肛、痔ろうという大きく3つの種類に大別でき、それぞれに治療が異なります。でも100%手術が必要なのは痔ろうだけです。しかも、肛門括約筋を切らないで済む手術法を選択すれば痛みは非常に少ない。総じて言えば、痔には誤解が大変多いです。」

いきなり少し安心できたところで、まず肛門の構造について知っておこう。肛門とはいわゆる”穴”から約3cmの部位を指し、正確には肛門管と呼ぶ。そして肛門のふち部分から約1.5cmほど奥の部分にあるギザギザの線が歯状腺だ。この線から奥は大腸同様、自律神経に支配されるのでほとんど痛みを感じない。一方、歯状腺より穴に向かう部分は皮膚と同様の脊髄神経が支配し、痛みにも敏感だ。歯状腺を境に内外、どちらの場所にも痔は発生する。つまり、どこに痔ができたかで痛みの有無、強度が異なるわけだ。

■肛門とは何かを知る
大腸から連続する管が肛門という部位だ。肛門の周囲にある外肛門括約筋と内肛門括約筋の働きによって肛門は閉じられており、わずかなすき間は肛門の粘膜の下にある細かい血管が草むらのように集まった動静脈叢(そう)や平滑筋などの結合組織がクッションの役割をしてふさいでいるため、排便以外の時に便が漏れることはない。悪さをする菌でいっぱいの大便が通るわけだから、この管内には強力な免疫力が備わっている。

”痔の主役”とも呼べる外痔核と内痔核


そして前述した3つの痔はそれぞれに発生する部位や要因、症状が異なる。最初は、痔のなかで最も多いとされる”痔核”について平田医師に聞いていこう。

「私の病院の統計では、痔で相談にくる男性患者のうち、約6割が痔核です。これは肛門周囲の動静脈瘤の一種ですね。たとえば便秘などでいきむでしょう。そうすると、肛門付近の血管から出血したり、血流が悪くなったりすることによって、血管周囲の結合組織が増殖する。これがイボのようになったもの、いわゆる”イボ痔”が痔核なんです」

イボが歯状腺の奥にできれば内痔核、手前側にできれば外痔核と呼ばれ、内痔核は放っておけば排便時、肛門外にイボが顔を出す”脱肛”となる恐れもあるとか。内痔核は歯状腺の奥だから痛みはないが、外痔核はバリバリに痛むことが多い。そして、そもそもが動静脈瘤だから、ちょっとしたキッカケで血がふき出すというわけだ。

「便秘やアルコール、香辛料の取りすぎ、長時間同じ姿勢を続けることも痔核の原因となります。ということは、生活習慣病なんですよね。だから生活習慣をあらためれば、改善することがほとんど。たとえば、私が診た2.5万人以上の内痔核患者のうち、手術をした方は1割ちょっと。つまり9割近くが保存療法で治っている。アルコールを控える、同じ姿勢を続けないなどといったアドバイスと治療薬で、大体3ヶ月くらい様子をみましょうと。そうすると治ってしまうことも多いんです」

これはとてつもない朗報だ。最も多い痔核のうち9割が手術せず、改善してしまうなんて。読み勧めているうちにムズムズしてきたお尻の穴が少し安心してくれたのではないだろうか。

「でも、中年男性の方々は老化にも注意しなくてはいけません。血管は年齢と共に衰えていくもの。ですから肛門の周囲でクッションのような役目を果たしているさまざまな血管が、老化と共に痛んできます。当然、加齢に伴って痔核が発生する確率も増えてくるのです」


裂肛の9割以上が、手術なしで治るという事実


次に追及するのは”裂肛”だ。これは読んで字のごとく肛門が裂ける症状である。

「裂肛とは、肛門上皮が切れて裂けることで、痛みや出血を伴う症状が発生します。歯状腺より外の部分に発生するので痛みも激しいことが多い。最大の原因は便秘で、女性に多いのも特徴です。また慢性の下痢に陥ると、肛門上皮が常にゆるい便にさらされて粘膜が傷つく。さらに便が通る時に粘膜がこすれ、裂肛となることもあります。症状は痛み、出血、違和感、分泌物などですね」

そしてこの裂肛も、平田医師の統計によれば9割以上が手術せず、保存療法で治るとか。また安心がひとつ増えたと言えるだろう。

だが、最もやっかいなのが3つ目の”痔ろう”だ。ここまで優しかった平田医師が、痔ろうの話になるとキリリと表情を変えた。

「痔ろうだとわかれば絶対に放置はできません。放っておくとがんになる恐れもありますから」

やはり痔は恐るべき人類の敵だった。次からは問題の痔ろうについて詳しく分析していくことにしよう。

■3つに大別される痔の種類
15万人以上の男性患者統計から、最も多かったのが痔核。裂肛と合わせると全体の6割以上にのぼる。つまりこれだけの患者が基本的には手術を要さない痔だったということになる。
平田肛門科医院調べ(1990~2012年)


その2 痔の放置は生命の危機!?


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放っておけばがんになるかもしれないという痔ろうの恐ろしさ。でも、やっかいな痔ろうのプロレスを知ることで、痔と闘う糸口が見つかるかも知れない。

他の2つの痔とは比べものにならないほど恐ろしい痔ろう。肛門の腫れや膿みが出るだけでなく、激しい痛みや発熱、最悪の場合、肛門がんのひきがねになってしまうという。まずはその原因を探っていきたい。注目すべきは、歯状腺より外にある肛門腺富というポケット状のくぼみ。8~11ヵ所ほどあり、ここに便が溜まることで、痔ろうの進行が始まるのだという。

「排便する時は、この肛門腺富に便が入ってしまうこともあるんですが、肛門管には強力な免疫力があり、通常なら問題ありません。でも、身体全体の免疫力が低下すると、この肛門腺富から炎症が起き、膿みが体内を浸食しながら膿管という通路を作り始めます。進行すると膿管が肛門括約筋やその奥にある肛門拳筋をも突き破ってしまう。膿管は肛門周辺から顔をのぞかせることもあれば、陰嚢付近に突き出る場合もある。ですからできるだけ早期の発見、治療が求められるのです」

また、お尻の付近がソワソワしてくるような痔ろうの脅威。だが、さらに恐ろしい事態が患者を待っていると平田医師は続ける。

「痔ろうを放っておいても自然に治るということはありません。それどころか化膿が進み、膿管のトンネルが何本にも増えることも。そうなれば肛門の機能に支障をきたし、排便が困難になってしまうことだってあります。場合によっては痔ろうの炎症が続くことによって肛門がんになってしまうこともある。だから痔ろうの場合だけは、早急な手術が必要です」

聞けば聞くほど怖い痔ろう。しかもこれほど悲惨な病気であれば、すぐに発見できそうなものだが、膿瘍(膿みを満たした空洞)が深いところにできてしまうと痛みや腫れも少ないとか。だからいつの間にか進行して、ある時突然、激しい痛みと共に膿管が肛門付近に出現!なんてことにもなりかねない。ここまで知ると何が何でも予防したい。

「痔ろうの大半は大腸菌などの細菌感染によって起こるので、こうした菌からいかに身体を守れるかどうかが大きなカギです。肛門だけでなく、口の中だって常にさまざまな菌と戦っています。それでも炎症が起きないのはリンパ球などが菌を掃除してくれているから。」


大腸がんの症状を痔だと勘違いしてしまうことも


そして、痔を放置するとさらにさまざまな脅威が襲ってくることを知っておきたい。排便などの時に多少の出血を確認するも、「お尻の拭きすぎでちょっと肛門がすり切れた」とか、「軽い痔だろう」と思い込んで放置してしまうケース。確かに痔の場合もあるが、そうでないとしたらとんでもなくヤバイ可能性だってあるのだ。最も恐れるべきは、近い将来、日本人男性の死因のトップに踊り出ると言われている大腸がんだ。

「長年、痔を患っている人は出血を痔のせいにしてしまうことも多い。大便に血が混じっていても、痔による出血なのか、大腸がんなどによる出血なのか、自分では判断がつきにくいですから。そのため痔主の方は、定期的な大腸がんの検査がおすすめです」

とにかく痔が疑われるなら、ためらわず専門医に相談すること。平田医師の病院でも、痔だと軽視していたら実は大腸がんだった、という患者も少なからず存在したとか。ゆえに、排便時の出血、違和感を軽視するのは非常に危険なのだ。そして何より、痔や大腸がんを患う前にまずは予防を意識し、生活習慣を見直すことが肝要。便秘気味の体質を改善するには食物繊維を取るのが有効で、これは大腸がんの予防にもつながる。また乳製品やオリゴ糖などを積極的に摂取し、腸内に善玉菌を増やすことは大腸がん、痔の予防、どちらにも効果があるのだ。


専門医が少ない現状 正しい診察を受けるには


痔ろうを疑う患者にとってさらに注意すべきは、診断の正確性、病院との付き合い方だ。平田医師は痔ろうの診断を正確にできる専門医が日本には少ないと嘆いた。

「私の病院には、他の病院で痔ろうだからと言われて転院してくる患者も少なくありません。だから手術してくださいということでやってくるんですが、診てみるとこうした患者の7~8%が実は痔ろうではない。それだけ日本には正確に診断できる専門医が少なく、誤診によって無駄に手術されてしまうケースも実は多いと思っているんです。また、ジオン注射といってアルミニウムを含む注射液を打ち込み、痔を消し去ってしまおうという療法が国内では認可されている。でもこのジオン注射は欧米では脳に対するアルミニウムの安全性が確立されていないため、認可されていません。日本でも、Ⅲ度以上の内痔核のみの適応なので患者は限られますが、これを治療に用いている国内の病院は多数存在します。今の時代、治療方法を最終的に決断するのは患者の方ですから、もしこうした注射を打つとか、すぐ手術をしなければならないと医師に言われても、きちんとその理由を説明してもらうことが必要でしょう。可能なら診断結果と治療方針を紙に書いてもらうといい。納得できなければ、その紙を持って別の医者へ行き、意見を聞く。そうすればあなたの痔は、手術をしないで済むかもしれないし、注射さえ打たなくていいかもしれないのです。」

■中高年男性に襲いかかる大腸がんの猛威
近年、急激に増え続ける大腸がんの患者数。統計によれば45~49歳くらいの年代から患者数が増加するため、中年男はもろにストライクゾーンである。原因には食生活の変化、不規則な生活などが挙げられ、脂肪分の取りすぎや食物繊維の不足などには注意が必要だ。

■痔の診療をためらわせる6つの理由
  1. 診療を受けるのが恥ずかしい
  2. 痔で死ぬことはないという軽視
  3. すぐに手術されるという恐怖
  4. 手術は非常に痛いという先入観
  5. 手術に何週間も入院が必要だという先入観
  6. 治療しても再発するというあきらめ
平田医師が患者にアンケートをとった結果、上のような順で診察をちゅうちょする患者が多かった。痔を疑ってから病院に行くまで平均で7年もかかっているというデータもあるとか。上のような先入観によって病院に行くのが遅くなるという悪循環。我々はそろそろこのサイクルを断ち切らなくてはいけない。


その3 痔に対する誤解を解く!


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痔という病気にはまだまだ誤解がいっぱいある。こうした誤解や先入観をあらためることで、早期発見や予防に向けて光明が見えてくるはずだ。

痔を疑い、病院に行ってみたら即日、手術が必要だと言われる患者はまだ多い。でも、年間1万2千人以上の患者を診ている平田医師によれば、診察してすぐ手術となった例はなんと年間0人だとか。「痔には手術が必要」という極端な先入観は早めに捨て去った方がよさそうだ。

「痔ろうをのぞき、欧米ではいかに手術をしないで乗りきっていくかが痔治療におけるトレンドになっています。実際、欧米では痔の患者のうち、手術を行なうのは10%程度ですが、日本は手術をしたがる傾向にある。本来、生活習慣の改善で治療できる痔が多いのにもかかわらずです。しかも私は1日に手術するのは3人までと決めていて、ていねいな手術をするためにはこの程度が適切だろうと考えています。でも、1日10人の手術をこなすといった病院も少なくありません。このようなことが起きている理由は、ひとえに病院経営の問題が大きい。まだまだ日本における痔の治療は遅れていると言わざるを得ません」


レーザーというありがたい治療法


早期に発見すれば、生活習慣の改善で治る可能性も高まる。それなのに我々が通院をためらう大きな理由は「手術が痛そうだ」という先入観である。実際のところ、どうなのだろうか?平田医師に直撃してみよう。

「たとえば内痔核を切除する場合、肛門括約筋をどれだけ傷つけずに手術を行なうかが術後の痛みを左右します。患者の負担を減らすため、こうした技術も進化し、傷口を小さく抑えると同時に、痛みも最小限にするという手術が一般化しています。また近年、半導体を用いたICG併用半導体レーザー照射法による手術が確立され、これは肛門括約筋を一切傷つけないので出血や痛みが極めて少ない。手術が全く痛くないというわけではないですが、痔の手術が特別に痛いというのは単なる迷信です」

「たとえば内痔核を切除する場合、肛門括約筋をどれだけ傷つけずに手術を行なうかが術後の痛みを左右します。患者の負担を減らすため、こうした技術も進化し、傷口を小さく抑えると同時に、痛みも最小限にするという手術が一般化しています。また近年、半導体を用いたICG併用半導体レーザー照射法による手術が確立され、これは肛門括約筋を一切傷つけないので出血や痛みが極めて少ない。手術が全く痛くないというわけではないですが、痔の手術が特別に痛いというのは単なる迷信です」

「がんの治療でさほど重用されなかったのは、がんを完全に消失させることができないから。同じように痔核も100%消失させられるというわけではありません。でも、症状が消えてしまうくらい痔核を小さくできるので、このICGが痔の治療には活躍している。12年間、この治療法を用いていますが、手術をして一度小さくなった痔核が大きくなってしまったという患者は、今のところひとりもいませんからね」

入院日数に関してはどうだろう。

痔の手術は大がかりで、入院にも多くの日数がかかると我々は考えがちだ。仕事やプライベートにも大きな影響が及ぶことを恐れ、手術を回避すべく、病院に行くのを躊躇してはいないだろうか。

「平田医院では2日以内の入院が約10%、難しい手術で2週間入院する方は約25%程度です。入院期間が短いほど、良い手術というわけではありません。さきほど説明したICG併用半導体レーザー照射法は合併症がなければ5日間で退院できますけどね」

驚くほど誤解の多い、痔という病気。だが、正しい知識を吸収していくと、とにかくまずは早期発見が重要だということがわかってくる。そして痔の手術だけが特別痛いわけでもないし、入院期間だって驚くほど長いわけでもない。確かに手強い相手だが、全く歯が立たない病気ということでもないのだ。

■ICG併用半導体レーザー照射法とは
痔核を切開することがないので、痛みも少なく、内痔核の安全な手術法として有効だ。この手術法が確立する以前は、痔核を切除するしかなかったことを考えれば、大きな進化と言える。重大な副作用などもないが、外痔核には使用できないのが少々、残念。

■ICG併用半導体レーザー照射法で痔の症状を劇的に改善
排便の度に痔核が飛び出してしまうⅢ型の内痔核患者。平田医院ではこうした患者572人にlCG併用半導体レーザー照射法を施した結果、手術後も痔核が飛び出す症状を訴えた人は誰もいなかった。それだけ効果が期待できる手術法なのだ。


誰でもできる痔の予防と改善法


1982年、ハースというアメリカの医師が外来患者のすべてに肛門部の診察を行ったところ、なんと86%に痔核の存在を認めたとか。それだけ痔は身近な病気であるということをあらためて知っておきたい。

「近年、問題視しているのは、ほとんどの仕事においてパソコンが関わるようになってきた点です。ビジネスマンは、パソコンを操作することで、1日中座り続けることが非常に多くなった。長時間、足の筋肉を使わずにいると、静脈の血液が心臓に戻りにくくなります。そのため肛門周辺の血管がうっ血し、痔の原因となったり、痔を悪化させたりするのです。心当たりのある方は、1時間パソコンを操作したら、必ず席を立って10mほど歩くとよいでしょう。それだけで痔の症状を改善できることもあるのです」

また、食物繊維を多く含む食品を意識して摂取することも覚えておきたい。毎日の快便が実現すれば、無駄にいきむこともなく、肛門への負担が少なくて済む。そしてもうひとつ、平田医師が推奨する痔の予防・改善法がこれだ。

「お尻の穴をキュっと締め、ゆるませる。この動作を1日10回繰り返すだけで肛門の体操になる。これならベッドで寝ながらでもできますよね。肛門周辺の筋肉や血管を鍛え、痔の原因となるうっ血や動静脈瘤が発生するのを防ぐというわけです」

聞いたそばから、肛門体操を開始した読者も少なくないはず。高い意識を持ち、健全な生活を送っていれば痔は怖くない。ひとたび痔になってしまえば、肛門がんに陥る可能性だって出てくる。すべての中年男は、肛門をもっと大切にすべきだ。そして今日から肛門を守るべく、さまざまな努力を開始しなければならない。

■食物繊維の重要性をあらためて認識
日本人の食生活が一気に欧米化したことにより、食物繊維不足が顕著になっている昨今。平田医院では食物繊維を効果的に摂取できるレシピを配布しているとか。普段の生活において食物繊維の摂取を強く意識し、痔の予防、改善につなげたいところだ。


雑誌情報は以下サイトにてご覧ください。
昭和40年男増刊 中年男のカラダと健康[下巻]

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TOKYO MX「ひるキュン!」に出演しました

TOKYO MX ひるキュン! 2016年10月13日放送
田中みな実&俳優・蟹江一平の異色コンビが送る1時間 『特別診療ドクターMX』

平田雅彦院長が解説者として出演しました。


ビデオ

※画面(▶マーク)をクリックすると再生が始まります。


【他の動画もご覧ください】

  movieテレビ朝日 中居正広のミになる図書館 2015年6月16日放送
   ゴールデン未公開SP『知らなきゃ良かった』
  movieテレビ朝日 ワイド!スクランブル 2013年8月21日放送
   『急増!!危険な夏の”便秘” 怖さと解消対策』
  movieBS-TBS 健康トリプルアンサー 2009年5月1日放送 『食物繊維』
  movieTBS 週刊!健康カレンダー カラダのキモチ 2008年8月17日放送
   『痔っとガマンは危険!お尻トラブルの傾向と対策』
  movieフジテレビ スーパーニュース 2006年11月3日放送
   『行列のできる医師 第3弾 ”痔”編』
  movieTBS 世界のスーパードクター4 2006年3月18日放送


「安心」に平田院長の解説記事が掲載されました

「安心」に平田院長の解説記事が掲載されました


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痔の9割は手術なしで治ると名医が断言!
切り札は食物繊維の多いきな粉ドリンク


手術を勧められた痔が2ヶ月半で完治


痔の治療というと、薬や手術を思い浮かべる人が多いことでしょう。しかし、実はたいていの痔は切らずに、日常生活でのセフルケアで治せます。その際、大きな力になってくれるのが、「きな粉ドリンク」です。

痔は、ムシ歯に次ぐ第2位の国民病で、日本人の成人の3人に1人は、「痔の気がある」と思っています。検診を行えば約7割の人に痔が見つかります。

痔の手術率は、日本では平均30%以上と高率ですが、ドイツで7%、イギリスで5%、アメリカで4%と、欧米諸国では10%以下です。世界の常識では、痔は生活習慣病であり、生活指導と保存療法で手術はほとんど行いません。

実際、私の病院に痔で来診される患者さんの9割近くは、生活指導だけで改善しています。

その一例として、A子さん(26歳・会社員)のケースを紹介しましょう。

ふだんから便秘がちだったA子さんですが、友人との旅行で3日間お通じがなかったため、帰宅後に思いきりいきんで排便しました。すると、便器が真っ赤になるほどの出血があり、激痛がその後4〜5時間続きました。

それ以来、排便が怖くなり、市販の下剤を多用するようにしたところ、便秘と下痢のくり返しです。肛門の痛みと出血は収まる気配もありません。仕方なく最寄りの肛門科を受診すると、「ひどい切れ痔で、手術しかない」と即答されました。

手術に気が進まなかったA子さんは、セカンドオピニオンとして知人に紹介された当医院を受診。確かに2ヵ所の裂肛(切れ痔)で肛門全体がただれるほどになっていたものの、私はセフルケアで治せると判断し、早速、生活指導を開始しました。

問診で詳しく生活状況を伺ったところ、A子さんは明らかに食物繊維不足です。そこで、毎朝起き抜けにコップ1杯の牛乳にきな粉大さじ1杯を混ぜたきな粉ドリンクを飲むようにしてもらい、併せて昼食や夕食にも豆類や海藻類、キノコを積極的に摂るように指示しました。

ご本人も、毎日食事日記をつけるなどして真剣に取り組み、2週間後には出血も痛みもなくなりました。2ヶ月半で裂肛は完治したのです。


不溶性と水溶性、両方の食物繊維が多い


私がきな粉ドリンクを治療に取り入れるようになったのは、20年以上も前からです。

痔には、痔核(イボ痔)、裂肛、痔瘻の3タイプがあります。いずれのタイプであろうと最大の原因は、便秘と下痢、つまり排便の悪化です。排便の悪化を強く正す力が、きな粉ドリンクにはあるのです。

きな粉は100g中、約17gもの食物繊維を含んでおり、これは全食品中でもトップクラスです。きな粉大さじ1杯(約10g)で1.7gもあり、食物繊維が豊富といわれている玄米ごはんの約1杯分で、白米なら約3杯分です。

量だけではありません。きな粉の食物繊維には、不溶性と水溶性の両方が含まれているのも大きな魅力です。

水溶性食物繊維は便を柔らかくし、不溶性食物繊維には腸管を刺激して腸の働きを高める作用があります。

また朝起きがけに牛乳を飲むと、胃が急速にふくらんで便意をもよおす神経が働きます。これも便秘の改善には効果的でしょう。

私の医院では、386人の痔の患者さんを対象に生活指導のみの治療を行ったところ、88%が改善するという大きな成果を得ました。

痔瘻以外は、手術は肛門の機能を低下させるリスクも伴うため、痔は「切らずに治す」に越したことはありません。



雑誌情報は以下サイトにてご覧ください。
安心(2016年9月号)

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