痔を「切らずに治す」肛門科医院

3-1 病院の薬と市販薬

3-1 病院の薬と市販薬

医師の診断がつかないと、薬は処方できません。一般のかたが漠然と市販薬を買って使うことは、本当は危険なことです。市販薬は、どうしても医師の診察を受けられないときに用います。

市販薬はリリーフ・ピッチャー

医師にかかったり、手術を避けたかったりしたいがために薬で治したいという患者さんはたくさんいます。しかし、残念ながら、痔は薬だけでは治らない病気であるということです。しかも市販薬は、あくまでも一時的に症状を抑えるためだけに用いるもので、結局はその場しのぎでしかありません。

痔の薬の効能には、痔による痛みや出血、はれを抑えることや、薬が肛門の粘膜と上皮の表面をおおって、便をなめらかに通過させるようにすることがあります。それによって、便の刺激が軽減されるのです。

病院薬と市販薬との最大の違いは、病院の薬が、医師が診察して患者さんの病状にいちばん効果のある成分が入った薬を処方しているのに対し、市販薬はだれが使ってもいいように成分の配合を調整しているので、症状によっては薬の効果があらわれにくくなるということがあるのです。

薬は、医師の診断がついて、はじめて処方されるものです。医師の診察を受けなければ、薬を長く使ってはいけませんが、これが、薬を使用するときの基本です。

私が大学病院の外科にいたころ、通信販売で購入した高価な痔の薬を2年間も使いつづけ、症状が消えないので大学病院で受診したら直腸がんだった、という患者さんを診察した経験があります。医師の診断なしに薬を使うことの危険性を示すよい例といえます。

しかし、夜中に急に痔が痛くなって出血があったり、出張や旅行先で痔が悪くなったときなど、ただちに医師の診察を受けることができない場合は、症状に応じた市販薬を使うことはしかたのないことです。

このようなときには、2週間をめどに市販薬を使用してください。

そして、どうしても症状が改善されなかったり、症状をくり返したりしたときは、ほかの病気かもしれないのですぐに専門医を受診してください。早く診察を受ければ、それだけ早く治り、手術を必要とするケースはまれになります。

市販薬は、あくまでも医師の診察が間に合わないときのリリーフ・ピッチャーと考え、絶対的な治療法ではないのだということを肝に銘じておいてください。

市販薬の成分は弱いは真っ赤なウソ

薬の効能について、市販薬は弱い成分を使っているので安全という人がいますが、これはまちがいです。市販薬は、短期間で効くように薬の成分を配合しているので、意外と強い効能があるのです。

製薬会社は、1ヵ月以上使いつづけないと効かない市販薬では売れないために、3日間くらいで効果があらわれるように、強い薬をつくろうとしているからです。

特に痔の市販薬では、ステロイド系の成分を使っているものが多く、長期間使いつづけるとステロイド(副腎皮質ホルモン)の副作用で粘膜がただれたり、全身に副作用があらわれたりすることがあります。このことからも、市販薬よりも、医師から処方された薬を使うようにしてください。

痔が気になったら、できるだけ早く専門医の診察を受けて治療方針を決めてもらい、必要ならば痔の薬を処方してもらうのがベストです。

生活習慣病の薬の使い方

糖尿病や高コレステロール血症などの生活習慣病の治療は、まず、原因となっている生活習慣をつきとめて改善し、次に薬を使用するようにします。

痔は、現在では世界的に生活習慣病と考えられている病気なので、まず、痔をまねきやすい生活習慣を改め、自然治癒力を高めることからはじめてください。そして、自然治癒力を補うものが薬物療法と考えるとよいでしょう。




【関連ページ】

 ▶1. 痔の原因
 ▶2. 痔のセルフケア
 ▶3. 痔の薬物療法
   ▶3-1 病院の薬と市販薬
   ▶3-2 痔の薬の種類
   ▶3-3 痔の薬の使い方
   ▶3-4 医者が処方する主な痔の薬一覧
 ▶4. 痔を切らずに治したケース紹介

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