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Dr.Hipsが語る〜痔を知り、楽に治す方法〜

おしりの医学#025「乳児痔ろうについて」

乳児痔ろうは大人の痔ろうとは別物

今日は、「乳児痔ろうとは何か」というご質問をいただきました。乳児痔ろうがどのような病気かといいますと、1歳~3歳の赤ちゃんのお尻の脇(左か右側)に、ウミが溜まって化膿することで痛みが出る病気です。この原因はわかっておらず、痔ろうという名称から大人と同様に癌化してしまうのではないかとか、手術が必要になってしまうのではないかなど思われてしまいますが、乳児痔ろうは大人の痔ろうとは全く異なるものです。

原因は不明、男の子のみに発症

まず、乳児痔ろうは、男の子にしか発症しません。生まれてすぐの場合もありますが、大体1歳から3歳の頃に腫れが生じます。この腫れによって痛がり、通常は小児外科の先生に診てもらうことになります。患部を切開して膿を出し、穴がふさがらないように膿を出し続ける処置を行えば、自然に治癒します。必ず治るといってよいと思います。そういう意味では、大人の痔ろうとは全く違うといえます。

小児外科での治療で完治

これは、下痢をしやすい赤ちゃんがかかりやすいといわれています。なぜ乳児に発生するかという理由については、免疫システムが不完全だからという人もいますが、この理由だと男の子だけが発症する説明にはなりません。はっきりした原因は不明ですが、お母さんは焦らず、切開と膿出しを続ければ完治しますので、小児外科の先生を受診してください。
ごく稀に、乳児痔ろうが完治せず、大人になってから痔ろうになってしまうということがいわれていますが、その場合は通常の痔ろうの治療と同様に、入院して手術を受けていただきます。ただ、当院ではこの症例は一例もなく、3歳までにすべて治ってしまいます。

平田雅彦プロフィール(平田肛門科医院 院長)
1953年 東京都生まれ。
筑波大学医学専門学群卒業。慶應義塾大学医学部外科学教室に入局し、一般外科を研修。
社会保険中央総合病院大腸肛門病センターに入り、大腸肛門病の専門医としての豊富な臨床経験を積む。
現在、平田肛門科医院の3代目院長。