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Dr.Hipsが語る〜痔を知り、楽に治す方法〜

おしりの医学#083「私は本当に痔の手術が必要ですか?」

今回は視聴者様からの質問コーナーです。「おしりの医学」Youtubeチャンネルをご視聴いただいている視聴者様から、「体調ポリープの検査をした際に痔があると言われ、痔は大きくなることはあっても小さくなることはないので、手術をおすすめしますと言われました。毎日快便で本当に手術が必要なのか疑問です。」という質問をいただきました。そこで今回は、痔の症状がある時に手術は必要なのか。手術が必要になる基準は何なのかについてお話ししていきます。

痔で手術が必要になる基準

まず、「医師から手術を進められたことが本当に手術が必要なのか」という点について、当院の見解をお話しします。
現在の医学会において、痔の手術が必要になる基準は「内痔核または外痔核が排便に肛門から飛び出してきており、指で戻している状態である」とされています。裏をかえせば、たとえ時の症状があったとしても、痔核が肛門から飛び出すようなことがなければ、手術が必要であるかは考える余地があるということです。
今回は質問者様を症状を実際に診察しているわけではないので、手術の必要性について断言することはできませんが、もし痔核が肛門から飛び出すという症状がないのであれば、セカンドオピニオンを受けることを検討しても良いでしょう。

痔は生活習慣の改善で小さくなる可能性がある

続いて「痔は大きくなることはあっても小さくなることはない」という部分についてです。当院では、生活習慣を改善することで、痔が小さくなる可能性があると考えています。痔は以下のような原因で発生することが多いです。

  • 食生活の偏りによって下痢や便秘が続く
  • 不摂生な生活による免疫の低下
  • 運動不足による血行不良

上記の原因は生活習慣病の原因と共通しているため、痔は生活習慣病であるといっても過言ではありません。生活習慣を意識的に改めることによって、痔の症状を改善することが可能であると考えています。
事実、当院では手術による治療を可能な限り行わず、基本的に生活習慣の改善による保存療法で治療を行っていますが、ほとんどの患者様は生活習慣の改善することによって治療に成功しています。「痔が小さくなることはない」ということはないので、気になるのであればセカンドオピニオンを受けることを検討しましょう。

平田悠悟プロフィール(平田肛門科医院 副院長)
1982年 東京都生まれ。
筑波大学医学専門学群卒業。東京大学大腸肛門外科入局後、東京山手メディカルセンター大腸肛門病センターに出向し、
大腸肛門病の専門医としての豊富な臨床経験を積む。
2020年 東京大学大学院医学系研究科外科学専攻医学博士課程修了。
現在は平田肛門科医院の副院長。