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Dr.Hipsが語る〜痔を知り、楽に治す方法〜

おしりの医学#095「受診のタイミングはいつすべきですか?症状がひどい時?おさまっている時?」

痔は症状を感じても、しばらくしたら症状を感じなくなることがあります。痔の症状がなくなると、「治ったから医師の診察は受けなくても良いのではないか?」と考える人は多いでしょう。しかし、実際には早めに診察を受けたほうが大事に至らないケースが多いです。今回は痔の診察を受ける目安について解説していきます。

痔の受診タイミングはいつ?

基本的には痔の症状を感じたら専門医の診察を受けるのが最適です。しかし、痔の症状がない場合でも、今までに痔の症状を感じたことがあるのであれば、受診することをおすすめします。
一般的に、痔の症状で診察を受ける目安は以下のような場合とされています。

  • 裂肛:出血や激しい痛みがある時
  • 内痔核:排便時に内痔核が脱出し、指で戻す必要がある時
  • 外痔核:痛みを感じ、市販薬でも改善が見られないとき

他にも、便が細い場合や、肛門周辺に痛みやかゆみがある場合も、診察の目安といわれています。しかし、実際には「痔かな?」と感じたら早めに診察を受けるのがおすすめです。
痔の症状は軽度であるほど、治療時における体への負担が少なくなります。特に裂肛や痔核に関しては、軽度のうちは生活習慣の改善と薬の服用を中心とした保存療法で短期の治療が可能です。
しかし、症状が悪化すると保存療法では治療が長期化したり、手術が必要になる場合もあります。当院では手術が必要になった例は少ないですが、治療が長期化することは往々にしてあるので、体への負担を考えるのであれば、早期に診察を受けましょう。

最悪の場合は大腸がんの可能性がある

特に出血が多い場合や、長期間便が細くなっている場合、痔ではなく大腸がんの可能性があります。大腸がんの場合、症状が進行すると取り返しのつかない状況になってしまう可能性があるので、早期に利用をはじめることが重要です。
また、大腸がんをできるだけ早期発見したいのであれば、定期的に大腸内視鏡検査を受けることをおすすめします。痔と大腸がんは症状が似ているため、症状からどちらかを特定することは難しいのですが、大腸内視鏡検査であればすぐに特定が可能です。
ヨーロッパやアメリカでは40歳を超えると症状がなくても隔年で大腸内視鏡検査を行っており、結果的に大腸がんの早期発見を実現しています。もちろん当院でも大腸内視鏡検査を実施しているので、大腸がんのリスクを減らしたいのであれば、ぜひ当院にご来院ください。

平田悠悟プロフィール(平田肛門科医院 副院長)
1982年 東京都生まれ。
筑波大学医学専門学群卒業。東京大学大腸肛門外科入局後、東京山手メディカルセンター大腸肛門病センターに出向し、
大腸肛門病の専門医としての豊富な臨床経験を積む。
2020年 東京大学大学院医学系研究科外科学専攻医学博士課程修了。
現在は平田肛門科医院の副院長。