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Dr.Hipsが語る〜痔を知り、楽に治す方法〜

平田院長・新刊連動企画『マンガでわかる痔の治し方』LESSON2~お尻に違和感を感じたらすること~

2022年3月16日、当院院長である平田雅彦監修の書籍「マンガでわかる痔の治し方」が小学館集英社プロダクションより発売となりました。本書では手術や入院をせず、 「自分で痔を治す方法」がマンガでわかりやすくまとめられています。
今回は新刊連動企画と題し、本書の登場人物でもあり執筆者でもある漫画家・建築家のヒズメさんと、同じく登場人物である本書担当編集者のKさんをお招きし、本書の内容を基にした対談を5回に分けてお届けします。
第2回では痔になった際の受診タイミングや、病院の選び方についてお話ししています。ぜひ動画と合わせてご覧ください。

痔に医者は必要なのか

LESSON1にて、痔は生活習慣病であり、食生活の改善や運動不足の解消、自律神経の安定によって予防できるという話がありました。裏を返せば、生活習慣を改善すれば痔になる可能性が少なくなるので、医者にかかる必要はないのではないかと考える人も多いでしょう。
しかし、そもそも受診をしないことには本当に痔なのかを判別することができません。切れ痔や痔核の場合は手術が必要ないことが多いですが、痔瘻や直腸がんの場合は生活習慣の改善だけでは治療できず、手術や投薬治療が必要になります。
痔の治療の第一歩は自分の病名や病態をしっかりと把握することです。おしりに違和感を覚えたのであればまず受診して、病状を確認することが重要になります。

受診のタイミング

基本的に以下のような症状が続くようなことがあれば、医師の診断を受けることをおすすめします。

  • 出血
  • 排便時の痛み
  • 膿が出る
  • 痔核が露出する

重要なのは1回ではなく、症状が続いたら要注意であるということです。月に複数回上記のような症状が出たり、同じ症状が2週間ほど続くようなことがあれば、なるべく早期に医師の診察を受けましょう。

痔になった時の病院の選び方

痔にかかる際病院選びで重要になるのがプライバシーへの配慮です。LESSON1では、痔の症状を自覚している患者が来院しない理由のほとんどは、手術への恐怖であると解説しました。実は、痔の症状を自覚している患者が来院しない理由には、患部の場所が場所であることから、診察を受けるのが恥ずかしいと感じているというのもあるのです。
近年では上記のような患者のために、プライバシーに配慮した病院も増えています。診察を受けるのが恥ずかしいと感じている人は、以下のような配慮がなされているかをチェックして病院を選ぶと良いでしょう。

  • 個室で診察を受けられる
  • 医師と1対1にならずに済む
  • 予約制で診察時に名前を呼ばれない
  • 恥ずかしさを感じにくい姿勢で診察が受けられる

まずは個室で診察を受けられる病院を選びましょう。ひと昔前は診察室がカーテンだけで仕切られているだけで、会話が他の患者に聴こえてしまうような病院が多く存在しました。昨今ではプライバシーを配慮し、個室で診断を受けられる病院が増えています。
次に重要なのが医師と1対1にならずに済むことです。特に女性の方の場合、医師と1対1だと精神的に苦痛を感じることが多いでしょう。診察時に看護師も同伴してくれる病院を選べば、安心して診察を受けられます。
また、最近は予約制で名前を呼ばれない病院も増えています。受付時に整理券が渡され、番号のみで呼ばれる病院を選べば、周りの目を気にせず診察を受けることが可能です。
最後に、最も重要なのが診察時の姿勢です。以前は砕石位(さいせきい)と呼ばれるお尻を大きく露出する体位で診察をしていました。実際、未だに砕石位で診察をしていると思っている人が多く、痔の診察をためらう要因の1つといえるでしょう。
近年では横臥位(おうがい)と呼ばれる横向きで寝た体位で治療を行うため、精神的にも精神的にも負担が少なくなっています。服を脱ぐ必要はなく、少しずらしておしりだけ露出させれば診察は可能で、患者が恥ずかしくならないよう、露出部はタオルで隠すことがほとんどです。病院を選ぶ際には横臥位で診察が受けられるかどうかを確認しましょう。

市販薬の使い方

基本的には、市販薬の長期起用は控えるべきです。そもそも、正確な診断を受けずに市販薬を使い続けるのはおすすめしません。本当は直腸がんなのに痔の薬を使い続けるなど、症状に合わない薬を使用し続けることになる可能性があるためです。
また多くの場合、痔の市販薬にはステロイドが含有されています。ステロイドを使用し続けると、2ヶ月に一回生え変わる粘膜が徐々に弱くなって行ってしまうので、2週間以上使い続けるのは控えましょう。
私が大学にいたころ、市販薬を1年間使用されていた方がいたのですが、実際の症状は直腸がんで、手遅れになってしまいました。治療法が症状に合っているか確認するためにも、まずは診察を受け、医師の指導の下、適切な治療を行うことをおすすめします。
特に最近は、コロナ化の影響でリモートワークが一般化し、運動不足で時になっている人が増えているようです。事実、薬局でも風邪薬より痔の薬の方が売れているというニュースもありました。
現代は治療方法を患者が選べる時代ですが、選択すべき治療方法を見定めるためにも、医者を上手く利用するのが良いでしょう。

参考書籍『マンガでわかる 痔の治し方』

痔は「生活習慣病」です。生活改善すれば、自分で治せます! トイレのたびに出血する! 痛い! かゆみや便秘が慢性化している…。 そんなおしりトラブルを抱えていながら、 「医者に行くのが恥ずかしい」 「手術されるのはこわい」 と、見て見ぬふりをしていませんか。 そこで本書では、手術しない、入院しないで、 「自分で痔を治す方法」をマンガでわかりやすくまとめました。 痔の手術経験があり、いまも再発におびえる漫画家のヒヅメさんが、 約40万人の患者を診てきた日本を代表する肛門科専門医、平田雅彦先生に相談。 効果的な食事メニューから、便秘を治す朝習慣、トイレの正しい使い方や世界一ラクな運動まで! 自宅でできる治し方、忙しくても続けられるおしりケアについて、紹介します!
 

平田雅彦プロフィール(平田肛門科医院 院長)
1953年 東京都生まれ。
筑波大学医学専門学群卒業。慶應義塾大学医学部外科学教室に入局し、一般外科を研修。
社会保険中央総合病院大腸肛門病センターに入り、大腸肛門病の専門医としての豊富な臨床経験を積む。
現在、平田肛門科医院の3代目院長。