痔の薬物療法
痔の薬の種類
痔の薬には、外用薬の坐薬と塗り薬(軟膏、クリーム)の2種類と、内服薬(飲み薬)の合わせて3種類があります。 これらの剤型の薬を、痔の種類と症状に合わせて使い分けることが必要です。
基本的な薬の知識を覚えておく
治療を医者まかせにするのではなく、自分自身も前向きに取り組むために、ここにあげたような、最低限の薬の知識は覚えておきましょう。それが、早く治る第一歩になるはずです。
坐薬
肛門に挿入する薬で、挿入しやすいように紡錘形をしたやわらかい固形の薬です。肛門内に入れるととけて、痛み止めや止血の作用があります。主に、裂肛や痔核に用います。
とけた成分が肛門の粘膜や上皮の表面をカバーして、便が通過するときの刺激から肛門を守るとともに、患部に直接作用するので効果は速くあらわれます。
塗り薬(軟膏、クリーム)
肛門の周囲に塗るタイプと、チューブの先端を肛門にさして薬を注入するタイプの2種類があります。
効能は、痛み止めや止血作用で、坐薬と同じように、排便時に通過する便が肛門の粘膜を刺激しないようにガードし、肛門の負担を減らす働きがあります。
肛門の出口付近にできて、坐薬を使えない裂肛や痔核に使います。
痔の外用薬の種類は、含まれる成分によって、ステロイド系と非ステロイド系のものに大きく2つに分けられます。
これらの成分が含まれた薬を、痔の種類と症状、できた場所に合わせて使い分けます。
また、同じ薬で軟膏と坐薬という剤型の違いがある場合は、痔の種類や部位によって使い方が異なるだけで、成分と効果は同じです。
内服薬(飲み薬)
病院で痔の治療に用いる内服薬には、便秘のときに便をやわらかくする緩下剤や、炎症を抑える消炎薬、抗生物質などがあります。自分の場合はどちらなのか、くわしく聞くようにするといいと思います。
このように、痔の薬は大きく3種類に分かれます。自分の場合、どんな薬がベストなのか、医者の説明を受けながら、自分でも納得して使うようにしてください。
【COLUMN】
薬の正しい保管方法
薬は保管方法を誤ると、効果が低下したり、悪い作用が出ることもあります。次のような点に注意して保管しましょう。
- 高温・湿気・直射日光をさけ、比較的涼しい、温度変化の少ない場所に保管する。
- 坐薬は体温でとける。常温での保管でもさしつかえない坐薬もあるが、冷蔵庫で保管するほうが安心。
ただし、冷凍庫での保管は×。 - 使用期限が過ぎた薬は使わない。
- 使用期限内でも、色やにおいが変化している、顆粒剤や粉剤が固まっている、
軟膏やクリームの油が浮いているなどのときは使わない。 - 医師の処方した薬の使い残しがある場合、同じ症状が出ても自己判断で使わない。
必ず、医師に相談して指示に従う。 - 薬の外箱や袋、添付文書は薬と一緒に保管する。
- 子どもや認知症の高齢者の手が届かない場所に置く。