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Dr.Hipsが語る〜痔を知り、楽に治す方法〜

おしりの医学#010「市販薬でも痔を治せる? 」

市販薬はリリーフピッチャー

痔というのは肛門の病気の総称ですが、いずれも肛門粘膜の炎症によって痛みや出血が起こりますので、基本的にはその炎症を抑える薬を使うことで症状を軽くすることができます。
出張先ですとか、多忙でなかなか病院へ行けない場合などに、市販薬でまずは症状を抑える、というケースは多いかと思います。
市販薬には、飲み薬、軟膏、座薬、チューブタイプなどがあり、本当はすぐに病院にかかったほうがよいのですが、先述したように病院に行けない場合は、これらの市販薬をリリーフピッチャーとして使うことは有効です。ただし、2週間までを目安としてください。

ステロイド入り薬剤の使い方に注意

市販薬を長期で使うことにより、痔以外の病気であったり、腸に原因があった場合に治療が遅れ、取り返しがつかなくなることがあります。また、市販薬にはステロイドの入っているものと入っていないものがあり、ステロイドを含むものは効きが強いので一見効果的ですが、2週間以上継続して使用すると、2か月後に生え変わる粘膜が弱くなってしまうという副作用があります。病院の処方でも同じで、ステロイドは2週間までとし、その後はステロイドを含まない薬剤へ変更します。

市販薬で改善しなければ肛門科へ

病院へ行くひとつのタイミングとしては、2週間経過しても症状が改善しないとか、3 か月の間に 2回も3回も症状が出てくるとなると、やはりすぐに近くの肛門科で受診する必要があります。果たしてそれは本当に痔なのか、痔なのであればどんな種類なのか、どんな治療で改善できるのかを詳しく説明してもらったほうがよいでしょう。
胃潰瘍だと思って胃薬だけで済ませていたら、実は胃がんだったということも少なくありませんから、まずは正しい診断と、その診断から導かれる正しい治療法を実施することがとても重要です。

痔の原因も治療

さらには、「なぜ痔になったのか」を知り、ここを改善しない限りどんなに治療しても再発は免れません。便秘や下痢、硬い便によって痔は悪化しますので、症状の治療だけではなく、お通じを良くするための薬も同時に使っていく必要があります。

平田雅彦プロフィール(平田肛門科医院 院長)
1953年 東京都生まれ。
筑波大学医学専門学群卒業。慶應義塾大学医学部外科学教室に入局し、一般外科を研修。
社会保険中央総合病院大腸肛門病センターに入り、大腸肛門病の専門医としての豊富な臨床経験を積む。
現在、平田肛門科医院の3代目院長。