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おしりの医学#034「肛門がかゆい時どうする?」

日常的に肛門のかゆみに襲われている方は、肛門の内部や肛門周りの皮膚に異常が起きている可能性があります。もしかしたら大きな病気の兆しになっていることも…。今回は肛門のかゆみについて、原因や治療法などを解説していきます。

肛門がかゆくなる3つの原因

肛門がかゆくなるのは、肛門の皮膚がただれてしまうのが原因です。肛門の皮膚がただれてしまう原因には以下のようなものがあります。

  • 肛門内部に炎症がある
  • 肛門周りの皮膚が弱くなっている
  • 直腸がんになっている

肛門がかゆくなる原因は1つではありません。基本的には肛門や肛門付近の皮膚に異常がある時にかゆみを感じることが多いです。詳しく見ていきましょう。

肛門内部に炎症がある

1つ目の原因は肛門内部の炎症です。肛門の中に炎症があると、肛門の粘膜がただれてきてしまいます。肛門粘膜のただれには痛みなどはないものの、放置しておくと分泌物を生成し、肛門から外に出てきます。
分泌液が肛門周りの皮膚についてしまうと皮膚がただれてしまい、かゆみを発生させます。

肛門周りの皮膚が弱くなっている

肛門周りの皮膚が物理的に弱くなっていることも、かゆみを引き起こす原因になります。肛門周りの皮膚が摩擦や湿気などによって弱くなってしまうと、かゆみを感じやすくなってしまいます。
普段から下着が肛門周りの皮膚と擦れてしまっている方や、汗による湿気をこまめに拭き取らない方などは、皮膚が弱くなっている可能性が高いです。また、かゆみがあるからといって掻いてしまうのも、肛門周りの皮膚が弱くなる原因になります。

直腸がんになっている

直腸がんがかゆみの原因になることもあります。がんの中には漿液産生腫瘍(しょうえきさんせいしゅよう)というものが存在します。漿液産生腫瘍は腫瘍の中で漿液と呼ばれる分泌物を産生する腫瘍のことです。漿液は直腸粘膜がただれた際の分泌物と同様、肛門から外に出てきてかゆみを引き起こします。
直腸がんが漿液産生腫瘍になるケースは珍しいものの、万が一ということもあるので、肛門のかゆみに悩んでいる方は一度医師の診察を受けることをおすすめします。

肛門のかゆみの治療法

肛門のかゆみの治療はかゆみの原因に合わせて行います。肛門内部の炎症が原因の場合は、治療薬を服用して炎症を抑えるような治療になります。治療薬は軟膏や座薬で出されることが多いです。
皮膚が弱くなっている場合は、肛門の周りに塗るタイプの治療薬が処方されます。皮膚が下着で擦れてしまっているような場合は綿で皮膚を保護することも多いです。

肛門のかゆみは大きな病気の兆しの可能性がある

肛門のかゆみは炎症や肌へのダメージの他、直腸がんが原因になっていることもあります。ただのかゆみだからといって放置してしまうと後々大変なことになってしまう可能性があるので、気になる方は医師の診察を受けるのが良いでしょう。

平田雅彦プロフィール(平田肛門科医院 院長)
1953年 東京都生まれ。
筑波大学医学専門学群卒業。慶應義塾大学医学部外科学教室に入局し、一般外科を研修。
社会保険中央総合病院大腸肛門病センターに入り、大腸肛門病の専門医としての豊富な臨床経験を積む。
現在、平田肛門科医院の3代目院長。