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Dr.Hipsが語る〜痔を知り、楽に治す方法〜

おしりの医学#046「痔の治療薬はどれが良いの?」

痔の治療方法として治療薬を使用する場面は多いです。近年は市販薬も増えてきており、治療薬をどのように選べば良いのか、分からないという人も多いでしょう。今回は痔の治療薬について、当院のおすすめの種類や避けるべき成分についてお話ししていきます。

痔の治療に使う外用薬の種類は座薬がおすすめ

一般的に痔の外用薬には以下の3種類が存在します。

  • 座薬タイプ
  • 軟膏タイプ
  • 注入軟膏タイプ

上記の中で特におすすめなのは座薬タイプの外用薬です。肛門の直腸の間には肛門直腸膨大部と呼ばれる部屋のようなものがあります。座薬は肛門直腸膨大部まで入れると肛門から出てしまうことがなくなるので、薬の効果が薄れてしまう恐れがありません。
また、座薬は他のタイプの外用薬よりも体内に吸収されやすいため、効果が出るのが早いのも特徴です。座薬を肛門直腸膨大部まで入れる際には指の関節が目安となります。指の第二関節まで入れれば座薬が肛門直腸膨大部まで届くので、目安にすると良いでしょう。

軟膏は外部に傷がある場合におすすめ

軟膏タイプの外用薬は皮膚から吸収されます。皮膚は内臓に比べると薬の吸収が遅いため、基本的に軟膏タイプの外用薬は座薬タイプのものよりも効果が出るのが遅いです。 ただし、肛門周りの皮膚が炎症を起こしている場合や、切れ痔などのように皮膚に直接外傷が出来ている場合は軟膏の方が有効になります。座薬は外傷に対して直接塗りつけることができないので、外傷の長期的な治療ならまだしも、短期的な治療には不向きです。
肛門付近の皮膚に傷や炎症がある場合は、軟膏タイプの外用薬を選びましょう。

注入軟膏は突起の長さに注意

注入軟膏は市販薬に多いタイプです。私自身、注入軟膏タイプの市販薬の開発に携わっていたことがありましたが、注入軟膏は注入するための突起の長さに難しい問題があります。基本的に、突起は長い方が直腸に届くため、薬の効果を最大限発揮させるためにはある程度の突起の長さが必要です。 しかし、注入軟膏は患者自身が肛門を見ずに使うことになるため、突起を長くしすぎると、正しく入れられなかった際に直腸や肛門を傷つけてしまう可能性があります。企業としては安全性を考慮しなくてはならないため、市販の注入軟膏は突起が短めのものが多いです。
結果的に軟膏が直腸まで届かないため、薬の効果は限定的になってしまいます。痔を外用薬で効率的に治療したいのであれば、基本的には座薬タイプを選び、外傷に関しては軟膏を使い分けるようにすると良いでしょう。

痔の外用薬を選ぶ際にはステロイドの有無をチェック

外用薬を選ぶ際には、薬のタイプだけでなく成分にも着目しましょう。基本的に、外用薬を選ぶ際にはステロイドが入っていないものを選ぶのがおすすめです。ステロイドが含有されている外用薬は即効性があるものの、副作用で2ヶ月に1回生え変わる粘膜が弱くなっていってしまいます。 よって、2週間を超える連続使用には向いていません。実は市販の痔の薬にはほとんどステロイドが入っています。企業としては患者が短期で効果を実感してくれる商品でないとどうしても売れ行きが悪くなってしまうため、即効性を持たせるためにステロイドを含有せざるを得ないのです。身体への負担が少ない薬を使ってしっかりと痔を治したいのであれば、ステロイドが入っていない薬で長期的に治療していくようにしましょう。

痔の内服薬は副作用が少ないものを選ぼう

痔の外用薬について分かったところで、次に内服薬についても解説していきます。痔の内服薬は、基本的に長期使用しても副作用が少ない酵素剤や生薬を選ぶのがおすすめです。例としては、パイナップルから作られる酵素剤である「ブロメライン」や、ヨーロッパで数百年前から利用されている生薬である「メリロートエキス」などが挙げられます。 上記のような薬は妊婦への処方も許可されている身体に優しい薬なので、長期的に服用しても身体への負担が少ないです。強い抗生剤などは確かに即効性があります。しかし、外用薬におけるステロイドと同様、身体への負担が大きいため長期的な治療には向いていません。身体への負担を最小限にしてしっかりと痔を治したいのであれば、長期で使える薬を選ぶようにしましょう。

痔は身体に優しい薬を使ってゆっくり治していくのがおすすめ

今回は痔の治療薬について解説してきました。痔の外用薬は体内への吸収が早く、患部にしっかりと届く座薬タイプがおすすめです。ただし、肛門付近の炎症や傷などには軟膏の方が有効なことが多いので、状況に応じて使い分けましょう。 また、外用・内服問わず、痔の治療薬を選ぶ際には身体への負担が少ないものを選ぶのがおすすめです。ステロイドや強い抗生剤などは即効性こそあるものの、身体への負担が大きいため長期的な使用には向いていません。
治療が長期になるとしても身体に優しい薬を選び、時間をかけてしっかりと痔を治していくことで、健康な身体を取り戻すことができます。自身に合った薬を選びたいのであれば、医師の診察を受けて病状を正確に理解しましょう。

平田雅彦プロフィール(平田肛門科医院 院長)
1953年 東京都生まれ。
筑波大学医学専門学群卒業。慶應義塾大学医学部外科学教室に入局し、一般外科を研修。
社会保険中央総合病院大腸肛門病センターに入り、大腸肛門病の専門医としての豊富な臨床経験を積む。
現在、平田肛門科医院の3代目院長。