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Dr.Hipsが語る〜痔を知り、楽に治す方法〜

おしりの医学#080「痔を悪化させない排便姿勢」

排便時の姿勢は痔の予防や改善において重要です。特に痔の位置によっては排便時の姿勢が原因になっていることがあります。今回は正しい排便姿勢と痔につながりやすい排便姿勢について解説していきます。

お尻の前側に切れ痔ができている場合は排便姿勢に問題あり

一般的に、切れ痔はお尻の背中側、つまり立っている状態で上側にできることが多いです。しかし、まれにお尻の前側に切れ痔ができてしまう方がいます。お尻の前側に切れ痔ができている場合、正しい排便姿勢で排便ができていない可能性が高いです。
排便時は身体を後ろに倒すとお腹に力が入りません。よってやや前傾姿勢になることが重要です。一般的には、オーギュスト・ロダンの「考える人」の体勢を取るのが良いとされています。しかし、身体を大きく前に倒すとお尻の前側に大きな圧力がかかってしまうため、肛門に炎症ができたり切れ痔が発生しやすくなってしまいます。
特に排便時にスマートフォンや本などを見ていると、極端な前傾姿勢になりやすいので注意が必要です。

排便時にいきむことも痔の原因になる

排便時に強くいきんでしまうことも痔の原因になります。排便時にいきむと肛門に大きな圧力がかかります。特に便意のない状態で無理やり排便しようとすると、一時的に血圧が200を超え、肛門だけでなく脳血管にまでダメージが発生してしまう恐れがあり危険です。
排便時にいきまないようにしたいのであれば、便意がある時にトイレにいくようにしましょう。便意があれば身体が自然と便を出そうとするので、無理にいきむことなく排便することが可能です。また、排便時には可能な限り急ごうとせず、ゆっくりと便が出るのを待つことも重要になります。日常生活ではトイレを急ぐような場面も多くなりがちですが、できるだけ日々のスケジュールに余裕を持ち、ストレスなく排便ができる生活を心がけましょう。

平田悠悟プロフィール(平田肛門科医院 副院長)
1982年 東京都生まれ。
筑波大学医学専門学群卒業。東京大学大腸肛門外科入局後、東京山手メディカルセンター大腸肛門病センターに出向し、
大腸肛門病の専門医としての豊富な臨床経験を積む。
2020年 東京大学大学院医学系研究科外科学専攻医学博士課程修了。
現在は平田肛門科医院の副院長。