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おしりの医学#093「おしりの痒みに悩まされています。シャワートイレは使い過ぎちゃダメですか?」

前回に引き続き、今回もライブ配信第2回にいただいた質問についてお話しします。「おしりのかゆみに悩まされています。排便時にはシャワートイレを使っているのですが、使いすぎは良くないのでしょうか」という質問をいただきました。そこで今回は、シャワートイレの使いすぎで引き起こされる症状や、適切な使い方を解説します。

シャワートイレは「弱」で10秒程度が適切

結論から言えば、シャワートイレの使いすぎは肛門に良くありません。シャワートイレの性能にもよりますが、基本的には「弱」で10秒程度が適切です。肛門に限らず、皮膚には外的要因から組織を守るためのバリア機能が備わっています。肛門にかゆみがあると、清潔にすることを重要視してしまい、強めの水勢で長時間当ててしまいがちです。しかし、強めの水勢で長時間シャワートイレを当てると、皮膚への刺激が強すぎて、バリア機能がはがれてしまう恐れがあります。
皮膚のバリア機能が壊れると、乾燥しやすくなってしまったり、かゆみを感じやすくなってしまい、結果的にかゆみが悪化してしまうので注意が必要です。とはいえ、肛門を洗わないと排便時に肛門に付着した塩分やアンモニアなどが残ってしまい、かゆみの原因になります。よって、基本的には「弱」の強さで10秒程度当てることを徹底するのがおすすめです。

石けんの使用にも注意が必要

シャワートイレの使いすぎと共に注意したいのが石けんの使用です。肛門は皮膚が薄いこともあり、石けんで洗うとかゆみの原因になる可能性があります。特に市販の石けんはアルカリ性のものが多いです。人間の皮膚は弱酸性なので、アルカリ性の石けんで洗ってしまうと、バリア機能を化学的に破壊してしまう恐れがあります。基本的には石けんを使わなくても清潔にすることはできるので、石けんの使用は控えましょう。どうしても石けんを使いたいのであれば、弱酸性のものを使用することで、かゆみを抑えることができます。
また、長時間の入浴も皮膚の乾燥を誘発するので、皮膚が薄い肛門は特にかゆみを感じやすくなります。おしりにかゆみを感じるときは、長時間の入浴は避けたほうが良いでしょう。他にも内痔核が原因でかゆみが出ることがあります。詳しくは『おしりの医学#081「おしりのかゆみ対策」』で解説しているので、併せてご覧ください。

平田悠悟プロフィール(平田肛門科医院 副院長)
1982年 東京都生まれ。
筑波大学医学専門学群卒業。東京大学大腸肛門外科入局後、東京山手メディカルセンター大腸肛門病センターに出向し、
大腸肛門病の専門医としての豊富な臨床経験を積む。
2020年 東京大学大学院医学系研究科外科学専攻医学博士課程修了。
現在は平田肛門科医院の副院長。