Dr.Hipsが語る〜痔を知り、楽に治す方法〜
おしりの医学#139「直腸粘膜脱について」
直腸粘膜脱という病気について、それがどんな病気なのか、どうしてそういう病気が起こるのか、どうやって直していけばいいのかについてお話します。
直腸粘膜脱の原因
文字通り直腸の粘膜が脱出してしまう病気です。 座っていると夕方付近に違和感がある、脱腸しているような感じがするといった症状があります。
人間は元々四足歩行だったため、心臓と肛門が同じ高さでしたが、二足歩行に進化したので、肛門よりも心臓が上になりました。
そのため、重圧がかかって腸が落ちやすくなるという構造になっています。
コラーゲーファイバーという組織が直腸を支えていますが、老化によりだんだん弱くなって直腸が下に落ちてくることが原因と考えられます。
また、内痔核がある方はうっ血してくると下から引っ張られてしまうので、直腸が落ちやすくなるということもあります。
改善と予防について
今までコラーゲンファイバーを強くする方法はないため、2~30分昼寝をすることで改善が見込めるとお伝えしてきました。
横になることで心臓と肛門が同じ高さになり、腸が戻ってくるからです。
しかし、コラーゲンファイバーは強くできなくても、その周辺のインナーマッスルを鍛えることで改善できるのではないかと半年間筋力トレーニングを続け、症状が改善したという患者さまがいらっしゃいました。
このような方が何人もいらっしゃいますので、インナーマッスルのトレーニングを行うことは非常に有効と言えるかと思います。
また、予防ということで言うと、重い荷物を持って長時間歩いたりすると、コラーゲンファイバーが裂けることがあります。
一度裂けたコラーゲンファイバーは元に戻りませんので、重い物を長時間持つことは控えましょう。
平田悠悟プロフィール(平田肛門科医院 院長)
1982年 東京都生まれ。
筑波大学医学専門学群卒業。東京大学大腸肛門外科入局後、東京山手メディカルセンター大腸肛門病センターに出向し、大腸肛門病の専門医としての豊富な臨床経験を積む。
2020年 東京大学大学院医学系研究科外科学専攻医学博士課程修了。
現在、平田肛門科医院の4代目院長。
平田雅彦プロフィール(平田肛門科医院 名誉院長)
1953年 東京都生まれ。
筑波大学医学専門学群卒業。慶應義塾大学医学部外科学教室に入局し、一般外科を研修。
社会保険中央総合病院大腸肛門病センターに入り、大腸肛門病の専門医としての豊富な臨床経験を積む。
現在、平田肛門科医院の名誉院長。
