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Dr.Hipsが語る〜痔を知り、楽に治す方法〜

おしりの医学#141「繰り返す切れ痔〜固い便をなんとかしたい」

今回は「おしりの医学(YouTube番組)」に寄せられたご質問に回答させていただきます。

生活習慣の改善を何か月も実践していますが、出残り便で毎回切れ痔を繰り返します。他に改善方法はないでしょうか?

食物繊維を摂っている場合でも、その質を見直す必要があります。
食物繊維には水溶性と不溶性の2種類がありますが、水溶性食物繊維は便をゲル状にし、最初の便が硬くなりすぎるのを防ぐ効果が期待できます。水溶性食物繊維(ナメコなどの生キノコ、天草などの海藻類、アボカドなど)、ごぼうのように不溶性・水溶性の両方を含むものを積極的に摂取するようにしましょう。
また、腸が冷えると動きが悪くなり、便秘になって便が腸内に長く留まります。便が長く留まると水分が奪われ、最初の便が硬くなる原因になりますので、水分を多めにとりお腹を冷やさないよう心掛けてください。

薬剤の形状はどうのようなものがよいでしょうか?

一般的なクリニックでは注入軟膏を勧められることが多いようですが、当院は座薬を推奨しています。
座薬は体温で溶けて内痔核に直接塗られるだけでなく、溶けた成分が朝の最初の硬い便にも付着することで、便を柔らかくする効果も狙えるためです。
症状が治らない場合は、1日2回程度の座薬の使用を試してみることをおすすめしております。

薬を併用するよりは食物繊維を多く摂取するなど生活習慣の改善を優先させるほうがよいでしょうか?

安易に下剤を使うと、最初の便は硬いままなのに、その後水状の便が大量に出てしまう(下痢になる)など、別の苦労が生じることが多いです。
まずは食事(水溶性食物繊維)や生活習慣の改善を優先し、それでも難しい場合はレシカルボン坐薬のように浣腸代わりになるようなものや、ボラザG軟膏やヘルチミンの使用を試みるのがよいでしょう。

平田悠悟プロフィール(平田肛門科医院 院長)
1982年 東京都生まれ。
筑波大学医学専門学群卒業。東京大学大腸肛門外科入局後、東京山手メディカルセンター大腸肛門病センターに出向し、大腸肛門病の専門医としての豊富な臨床経験を積む。
2020年 東京大学大学院医学系研究科外科学専攻医学博士課程修了。
現在、平田肛門科医院の4代目院長。

平田雅彦プロフィール(平田肛門科医院 名誉院長)
1953年 東京都生まれ。
筑波大学医学専門学群卒業。慶應義塾大学医学部外科学教室に入局し、一般外科を研修。
社会保険中央総合病院大腸肛門病センターに入り、大腸肛門病の専門医としての豊富な臨床経験を積む。
現在、平田肛門科医院の名誉院長。

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