Dr.Hipsが語る〜痔を知り、楽に治す方法〜
おしりの医学#146「内痔核の手術後はすごく痛いってホント?」
『手術から1週間経過しているが、排便時すごく痛いです。鎮痛剤を使用しても普段からしっかり痛いです。 排便後はどんなに頑張っても毎分50cmも歩けません。
痛み止めと軟膏でなんとか誤魔化していますが、手術をする方は地獄の苦しみを覚悟した方が良いです。』
というコメントがありましたが、本当でしょうか。
(医院に寄せられたご質問への返答)
視聴者からの体験談:手術後1週間の激痛
内痔核(いぼ痔)の手術を受けた視聴者様から以下の投稿が寄せられました。
「手術後1週間経過しても、排便時や歩行時に非常に痛む。鎮痛剤と軟膏でなんとかしのいでいるが、手術を受ける人は地獄の苦しみを覚悟した方がいい」
このような体験談は、手術を検討する人にとって不安を大きくしますね。
痛みの原因は手術方法にある
すべての内痔核手術が同じように激痛を伴うわけではありません。
痛みの強さは、手術方法によって大きく左右されます。
従来の結紮(けっさつ)切除術などでは、意図せず筋肉を傷つけたり、術中・術後の止血のために筋層に針をかけたり縛ったりすることがあります。
これにより、括約筋が損傷・拘縮すると、排便時や座位時の痛みが長期間続き、重い苦痛になるケースが報告されています。
平田医院の術式:括約筋を傷つけない工夫
平田医院では「内肛門括約筋・外肛門括約筋に針すらかけず、切らない」ことを徹底した術式を採用しています。
具体的には、痔核に生理食塩水などを注入して浮かせ、筋層から十分に離した位置で内痔核のみを切除する方法です。
このアプローチは、私が2024年「消化器外科」8月号に執筆し掲載された内容でも、痛みを最小限に抑える肝心なポイントとして強調しています。
術後の実際の経過と日常生活への復帰
この術式の場合、ほとんどの患者さんが手術翌日から歩行可能です。
痛み止めは処方しますが、強い鎮痛剤が必要になるケースは少なく、1週間後には通常の仕事に復帰している人がほとんどです。
以前の動画(vol.111)で「術後はそれほど怖がらなくてよい」とお伝えしたのも、この経験に基づいたものです。
おしりの医学#111「内痔核の手術後、排便は普通にできますか?」
https://www.dr-hips.com/column/oshiri_no_igaku/111.html
セカンドオピニオンと病院選びの重要性
一度括約筋が傷つくと、硬化しやすく完全な回復が難しい場合もあります。
そのことからも「医師選び」は非常に重要で、筋肉を傷つけない工夫をしている病院を選ぶことが、つまりは術後の苦痛を大きく減らす鍵となります。
開示情報が少なく苦労するかもしれませんが、患者さん自ら積極的に調べ、複数の専門医に相談することにより、痛みの少ない治療を受けられる可能性が高まります。
まとめ:内痔核手術は「地獄」ではない選択肢がある
内痔核の手術が「地獄の苦しみ」になるかどうかは、手術方法と医師の技術に大きく依存します。
従来法では確かに痛みが強いケースがありますが、括約筋を保護する現代的な術式を選べば、術後が比較的軽く済む例が増えています。
手術を検討する際は、信頼できる専門医に複数相談し、自分に合った方法を選択することが大切です。
もちろん平田医院の方にもお気軽にセカンドオピニオンに来ていただければと思います。
平田悠悟プロフィール(平田肛門科医院 院長)
1982年 東京都生まれ。
筑波大学医学専門学群卒業。東京大学大腸肛門外科入局後、東京山手メディカルセンター大腸肛門病センターに出向し、大腸肛門病の専門医としての豊富な臨床経験を積む。
2020年 東京大学大学院医学系研究科外科学専攻医学博士課程修了。
現在、平田肛門科医院の4代目院長。
平田雅彦プロフィール(平田肛門科医院 名誉院長)
1953年 東京都生まれ。
筑波大学医学専門学群卒業。慶應義塾大学医学部外科学教室に入局し、一般外科を研修。
社会保険中央総合病院大腸肛門病センターに入り、大腸肛門病の専門医としての豊富な臨床経験を積む。
現在、平田肛門科医院の名誉院長。