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Dr.Hipsが語る〜痔を知り、楽に治す方法〜

おしりの医学#147「脱肛の悪化〜「戻せない」「痛い」は治る?」

当院に寄せられたご質問は、「脱肛が悪化し、戻せなくなって痛い」といったものでした。
これは多くの人が悩む重症化した痔の症状で、日常生活に大きな支障をきたします。

「本当に戻せない」緊急疾患〜「嵌頓痔核(かんとんじかく)」とは

痔核が肛門の外に出て戻らなくなり、激しい痛みを伴う状態を「嵌頓痔核」といいます。
これは血流が悪くなり腫れが急速に進む可能性の高い状態で、緊急入院や早急な対応が必要になることがあります。

今回のケースの推測

嵌頓痔核は耐え難い激痛と強い腫れが特徴ですが、ご質問のニュアンスからは「常に脱出・戻りを繰り返している」「痛みはあるが緊急レベルではない」といった印象を受けます。
つまり、そこまで重症化した状態ではない(嵌頓痔核ではない)可能性が高いと考えられます。
(急性嵌頓ではなく慢性的な悪化の段階だと推測しています。)

考えられる状態

おそらく内痔核(肛門の内側にできるいぼ痔)と外痔核(肛門の外側にできるもの)が同時に存在する「内外痔核」の状態で、
排便時や腹圧がかかると同時に脱出し、出たり入ったりを繰り返しているものと思われます。
このタイプは日常的に症状が出やすく、放置すると徐々に悪化しやすいです。

診断の重要性

上記はあくまで推測です。
痔の状態は見た目や症状だけでは判断しきれません。
自己判断で放置したり間違った対処をすると、かえって悪化する恐れがあります。
お早めに専門医による診察(視診・触診・必要に応じて内視鏡など)を受診してください。

まず取り組むべき改善策

内外痔核が脱出を繰り返す状態は、生活習慣の改善により状態を改善、つまり「患部を小さくできる」可能性が十分にあります。
患部が小さくなれば、症状は軽減され、また万一手術となった場合にも切除範囲が最小限で済みます。

具体的な対策として以下のものがあります。

・いきまない:排便時に強く力まない(便秘を防ぐ)
・ゆっくりお風呂に浸かる:温めて血流を改善し、うっ血を和らげる
・横になる姿勢を取る:重力による負担を減らす
・適度な運動:全身の血行を良くし、便通を整える
・水分や食物繊維をしっかり摂る:便を柔らかくして排便をスムーズに

これらを取り入れることで、痔核の腫れや脱出頻度が減少するケースが非常に多いです。

効果の見込みと次のステップ

まずは上記の生活改善を約3ヶ月しっかり続けてみてください。
多くの場合、症状が改善、あるいは症状自体が出なくなります。
当院では、それでも脱出や痛みが治まりきらない場合に限り、手術を検討します。
(当院は「切らずに治す」を基本方針としており、手術は本当に必要なケースにのみ、最小限に留めています。)

最後に

ご自身で判断し続けるよりも、早めに肛門科を受診されることを強くおすすめします。
正確な診断がつき、適切な治療方針が立てば、不安も解消され、治る可能性もぐっと高まります。
ぜひお気軽にご相談ください。よろしくお願いいたします。

平田悠悟プロフィール(平田肛門科医院 院長)
1982年 東京都生まれ。
筑波大学医学専門学群卒業。東京大学大腸肛門外科入局後、東京山手メディカルセンター大腸肛門病センターに出向し、大腸肛門病の専門医としての豊富な臨床経験を積む。
2020年 東京大学大学院医学系研究科外科学専攻医学博士課程修了。
現在、平田肛門科医院の4代目院長。

平田雅彦プロフィール(平田肛門科医院 名誉院長)
1953年 東京都生まれ。
筑波大学医学専門学群卒業。慶應義塾大学医学部外科学教室に入局し、一般外科を研修。
社会保険中央総合病院大腸肛門病センターに入り、大腸肛門病の専門医としての豊富な臨床経験を積む。
現在、平田肛門科医院の名誉院長。

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