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おしりの医学WEBセミナー#005「骨盤底筋体操について〜便漏れ、尿漏れの心配を軽減〜」
骨盤底筋が弱くなる原因
骨盤底筋は、加齢や出産などで徐々に弱化します。特に、40歳を過ぎると筋力の低下が顕著に現れることがあります。男性も徐々に筋力が低下していきますが、女性は出産や更年期によるホルモンの変化によって、男性よりも骨盤底筋が弱くなる傾向があります。
骨盤底筋の役割

骨盤底筋は、骨盤内の臓器を支える筋肉群で、尿道や膣、直腸を囲んでいます。この筋肉が弱くなると、以下のような問題が発生する可能性があります。
▼便秘や便漏れ
骨盤底筋の弱化により、直腸や肛門の筋力が低下し、便のコントロールが難しくなることがあります。
▼尿漏れ
尿道を支える筋肉が弱くなると、咳やくしゃみ、笑ったときに尿が漏れることがあります。
▼生活の質の低下
骨盤底筋の弱化により便漏れや尿漏れを引き起こすことで、外出を控える原因となり、心理的なストレスや生活の質(QOL)の低下を引き起こすことがあります。
骨盤底筋体操の基本的な方法
骨盤底筋体操は、ティッシュペーパーをお尻でつまんで上にあげるイメージで行うエクササイズです。以下のポイントを守りながら実践することで、効果的に骨盤底筋を強化できます。
▼姿勢と呼吸法
肛門を締める感覚を意識しながら体操を行うためには、正しい姿勢と呼吸法が重要です。最初は、座った姿勢でも効果的ですが、寝転がることでより筋肉を意識しやすくなります。
寝転がる場合仰向けになり、顎を引き、こぶし1つ分開けて両ひざを立てます。お腹が膨らまないように注意し、ゆっくりと息を吐きながら骨盤底筋を締めるように意識します。
「ハーの呼吸で5~7秒ゆっくり締めてリラックスする」
を10秒ごとで繰り返し、1分間を1日2セット行います。
「フーの呼吸で3秒間素早く締めてリラックス」
を繰り返し1分間を1日2セット行います。
次に体勢を変えます。
仰向けで両足を閉じて伸ばし、踵をそろえてつま先を外側に向けて先ほどのエクササイズを行ういます。
骨盤底筋体操を行う際の注意点
▼呼吸を止めない
呼吸を止めて筋肉を鍛えることは逆効果です。リラックスした呼吸を続けながら行うことで、筋肉を適切に鍛えることができます。
▼自分に合った体操を行う
YouTubeなどで「骨盤底筋体操」や「Kegel exercises」で検索し、自分に合った体操を行いましょう。余力があれば骨盤底筋と連動している腸腰筋や股関節の筋肉のストレッチも行うと一層効果的です。
バイオフィードバック療法の利用
骨盤底筋を意識するのが難しい場合は、バイオフィードバック療法をお試しいただくことも一つの方法です。この療法では、電気的な刺激を使って効果的に筋肉を鍛えることができます。
骨盤底筋体操の継続の重要性
骨盤底筋は、一度強化しても維持することが重要です。定期的に骨盤底筋体操を続けることで、筋力を維持し、健康な生活をサポートすることができます。
平田悠悟プロフィール(平田肛門科医院 院長)
1982年 東京都生まれ。
筑波大学医学専門学群卒業。東京大学大腸肛門外科入局後、東京山手メディカルセンター大腸肛門病センターに出向し、大腸肛門病の専門医としての豊富な臨床経験を積む。
2020年 東京大学大学院医学系研究科外科学専攻医学博士課程修了。
現在、平田肛門科医院の4代目院長。