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Dr.Hipsが語る〜痔を知り、楽に治す方法〜

おしりの医学#013「出産後の痔」

出産時のいきみが痔の原因に

出産後、痔になってしまう女性が多くいます。
帝王切開以外の分娩では出産時にいきむため、その結果肛門の内痔核が外に出てしまい、腫れて痛くなるからです。これは、ある程度仕方ないことだといえます。肛門科医だった父は、「一児もうけて二じ(児・痔)の母」と言っていました。それだけ、出産が原因で痔になる女性が多いということです。

出産後、痔になってしまったら?

では、出産後痔になってしまった場合、どうすればいいのでしょうか?
まずは薬などで肛門の炎症を抑えましょう。ただし、授乳される方は、服用する薬に十分注意する必要があります。母乳に悪影響のある薬は使えません。当院では、軟膏や座薬などを中心に処方し、併せて産婦人科医に服用しても問題ないかどうか確認してもらうようにしています。
出産後は子育てでなかなか病院に行く時間が取れない方も多いと思いますが、症状が悪化する前に一度受診されることをお勧めします。

痔には生活習慣の見直しも効果的

痔の症状を和らげるために、普段の生活でできることもあります。
入浴で体を温めたり、なるべく多く睡眠をとるようにしましょう。
また、出産後に、授乳による脱水症状が原因で便が固くなり、便秘になる女性も多いです。なるべくこまめに水分補給をしましょう。普通のお水でもいいですが、日本では昔から「まぐろの味噌汁を摂るといい」と言われてきました。これは、水分とともにタンパク質を摂ることができるからだと思います。また、味噌は発酵食品ですので、便秘に効果的です。ただし、塩分が多くなりすぎないように薄味にしてください。母乳の出が良くなり、さらに便秘も解消される味噌汁はとてもお勧めできる食べ物です。味噌汁以外でも、スープやおかゆなど水分が多いもの、また発酵食品を多めに摂るよう心がけてください。

妊娠前や妊娠中から痔のリスクに備えることが大切

肛門に異変を感じたら早めに受診しておくことも、出産後の痔の予防や悪化の防止につながります。妊娠前や妊娠中に肛門医の指導を受けて、生活習慣の改善を行いましょう。出産前に受診していたため、「出産の際、意外に痛くなかった」「出産後の腫れが少なかった」という方もいらっしゃいます。また、出産前に医師にかかっておけば、出産後不安を感じてもすぐに相談できて安心です。

平田雅彦プロフィール(平田肛門科医院 院長)
1953年 東京都生まれ。
筑波大学医学専門学群卒業。慶應義塾大学医学部外科学教室に入局し、一般外科を研修。
社会保険中央総合病院大腸肛門病センターに入り、大腸肛門病の専門医としての豊富な臨床経験を積む。
現在、平田肛門科医院の3代目院長。