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おしりの医学#100「『認知症に効果がある食物は?』〜今日から始める生活改善~」

高齢者人口の増加によって、増えつつある認知症患者。日本も認知症の治療に力を入れ始めています。実は認知症は腸内環境と密接な関係があると言われており、腸内環境の改善が認知症の予防につながるとされています。今回は認知症予防のために、腸内環境を整える食べ物について解説します。

日本は認知症の治療に力を入れ始めている

近年、日本は認知症の治療に力を入れ始めています。認知症疾患の半数以上はアルツハイマー病と言われています。近年は高齢者人口の増加に併せて増加傾向です。アルツハイマー病の原因はアミロイドβと呼ばれるタンパク質が脳内に蓄積することであるとされています。
アルツハイマー病の治療の際には、アミロイドβの蓄積を可視化するアミロイドPET検査を行い、レカネマブという薬品を投与することになりますが、アミロイドPET検査およびレカネマブは最近まで保険適用外でした。
しかし、2023年12月より、同検査および投与が保険適用となったため、金銭的な面で治療を諦めていた人でも、治療がしやすくなっています。

認知症に効果的な食べ物一覧

認知症に効果のある食物には以下のようなものがあります。

  • 青魚
  • 納豆
  • キノコ
  • 緑黄色野菜
  • 果物
  • ターメリック
  • コーヒー

認知症には腸内環境が密接に関わっているといわれています。腸内細菌中でも悪玉菌の代謝産物であるアンモニアやp-クレゾールは、認知症のリスクを約5倍に高めるといわれており、腸内環境の改善が認知症のリスク低減につながる可能性は高いです。
青魚は肉類と比較すると悪玉菌の発生が抑えられる他、納豆は乳酸菌を直接摂取できるため有効です。また、キノコや緑黄色野菜、果物を摂取することで、乳酸菌をはじめとした善玉菌の増殖を促進し、悪玉菌の増殖を抑えられます。
加えて、野菜や果物に含まれるオリゴ糖も善玉菌の増殖を促進するため、併せて摂取したいところです。野菜に含まれる食物繊維やオリゴ糖の種類については、『おしりの医学#082「今知って欲しい腸活の常識(痔の改善)」』をご覧ください。

認知症に対するコーヒーの有用性

前述の食品を摂取する際に最も効果的なのが日本食です。日本食は香辛料の利用も少ないため、腸内の善玉菌を殺菌してしまうこともなく、効率よく善玉菌を増やすことができます。さらに、日本食にコーヒーを含めると、認知症のリスクが減少するという報告があります。
ある研究によれば、伝統的な日本食にコーヒーを含めることで、認知症のリスクが25%減少するという報告がありました。一般的に、日本食にコーヒーは合わせることは少ないですが、食後に飲むなど、意識的にコーヒーを摂取することで、認知症のリスクを効果的に減らせる可能性が高いです。
また、ターメリック(ウコン)についても認知症に効果があるといわれています。日本でウコンを使用する料理は少ないですが、カレーなどにせっっ局的に使用することで、認知症のリスク減少が期待できるでしょう。
ただし、カレーは刺激的な香辛料も多く利用するため、かえって腸内環境を悪化させてしまう恐れがあります。カレーを積極的に食べる場合は、唐辛子やニンニクをはじめとした刺激の強い香辛料の使用は控え目にしたほうが良いでしょう。

平田悠悟プロフィール(平田肛門科医院 副院長)
1982年 東京都生まれ。
筑波大学医学専門学群卒業。東京大学大腸肛門外科入局後、東京山手メディカルセンター大腸肛門病センターに出向し、
大腸肛門病の専門医としての豊富な臨床経験を積む。
2020年 東京大学大学院医学系研究科外科学専攻医学博士課程修了。
現在は平田肛門科医院の副院長。