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おしりの医学#101「『中性脂肪値が高かった場合に総カロリー摂取量以外に気を付けることは?』〜今日から始める生活改善~」

中性脂肪の値が高い人は摂取カロリーを抑えることを第一に考えると思いますが、他にも気を付けるべきことはあります。特に注意が必要なのが果糖の過剰摂取です。果糖にはメリットも多いですが、摂取の仕方によっては中性脂肪の値に悪影響を与えます。今回は果糖と中性脂肪の関係性について解説します。

中性脂肪の値が高い時は果糖の摂取量に注意

中性脂肪の値が高い場合、総カロリー摂取量を抑えることはもちろんですが、他にも注意すべきことは多々あります。特に重要なのが、果糖を摂りすぎないことです。果糖はブドウ糖よりも約1.2倍ほど甘く、少量で甘みを出したいときに利用されます。
少量で甘みを感じる分、ブドウ糖よりも摂取量が少なくなると思われがちですが、果糖はブドウ糖よりも血糖値が上昇しづらいため、満腹中枢への刺激が少ないです。結果として
ブドウ糖よりも摂取量が多くなってしまう傾向があります。
加えて、果糖はブドウ糖よりも中性脂肪の合成を促進するような物質に変換されやすいので、過剰に摂取すると中性脂肪の値が高くなる原因となりやすいです。特に高脂肪食と果糖を同時に摂取すると、高脂肪食とブドウ糖を同時に摂取するよりも血中トリグリセリドが高く、6時間後でも高値のままでした。
食事と共に摂取する果糖として身近なモノとして、清涼飲料水が挙げられます。清涼飲料水に多く含まれる「果糖ブドウ糖液」は50~90%が果糖で構成されているため、過剰な摂取には注意が必要です。

果糖が悪という考え方は危険

中性脂肪の値が高い人の場合は、果糖の摂取を控えた方が良いですが、「果糖が悪」というわけではありません。前述の通り、果糖はブドウ糖よりも甘く、血糖値が上昇しづらいため、適切に摂取すれば血糖値が高い人の強い味方になってくれます。
また、果糖が多く含まれている果物には腸内の善玉菌の増殖を促進してくれる食物繊維やオリゴ糖が豊富に含まれています。問題は果糖を過剰に摂取してしまうことです。果糖のメリットとデメリットを正しく理解し、適切な量を摂取することを心がけましょう。

平田悠悟プロフィール(平田肛門科医院 副院長)
1982年 東京都生まれ。
筑波大学医学専門学群卒業。東京大学大腸肛門外科入局後、東京山手メディカルセンター大腸肛門病センターに出向し、
大腸肛門病の専門医としての豊富な臨床経験を積む。
2020年 東京大学大学院医学系研究科外科学専攻医学博士課程修了。
現在は平田肛門科医院の副院長。