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おしりの医学#091「肛門ポリープと痔の違いは?手術は必要??」

前回に引き続き、今回もライブ配信第2回にいただいた質問についてお話しします。「長年排便の際に肛門から腫れが脱出することがありました。最近症状が悪化したので医師の診察を受けたところ、ポリープと内痔核が重なっている状態で、手術が必要と診断されました。肛門ポリープと時にはどのような違いがあるのでしょうか。また、手術は必要でしょうか」という質問をいただきました。そこで今回は、肛門ポリープと痔の違いや、手術の必要性について解説します。

肛門ポリープと痔の違い

肛門ポリープとは、外的要因によって肛門に生じるイボのようなものです。肛門ポリープと内痔核は肛門にできる腫れという意味では似ていますが、病状としては全く異なるものになります。まず、肛門ポリープは内核痔のような炎症を起こすことはないので、放置しても痛みや出血に繋がることが少ないです。
また、肛門ポリープは大腸や直腸にできるポリープとは異なり、良性で悪性化することはほとんどないので、基本的には放置しておいても問題ありません。ただし、ポリープの大きさによっては常に便意を感じるようになったり、かゆみを感じることもあるので、不快感がある場合は切除を検討すると良いでしょう。

肛門ポリープができる原因

肛門ポリープは痔とは異なる病気ですが、肛門ポリープができる原因には痔が密接に関わっています。肛門ポリープができる原因は肛門の炎症や切れ痔です。つまり、痔がある人は肛門ポリープができる可能性が高くなります。
特に慢性的な便秘や下痢で内核痔ができていると、内核痔に重なるように肛門ポリープができることがあります。内核痔に重なってできた肛門ポリープは、内核痔の脱出と共に肛門の外に出やすくなり、痛みや出血を伴うことも少なくありません。ポリープが原因で痛みや出血がある場合は、手術で切除が必要になる可能性があります。
また、切れ痔が慢性化すると、切れ痔の両端に米粒大の肛門ポリープができることがあります。切れ痔が原因のポリープは、肛門が狭くならない限りは問題になることが少ないので、治療しないことも多いです。

肛門ポリープの切除が必要かどうかは専門家に判断を仰ごう

肛門ポリープを自分で発見することはほぼ不可能です。よって、肛門ポリープを発見するためには、肛門に違和感を感じた際に専門医の診察を受ける必要があります。また、肛門ポリープの状態を確認するためには定期的な診察が必要です。よって、肛門に違和感がある場合はまず専門医の診察を受け、違和感の原因を解明しましょう。
その上で、肛門ポリープが原因だった場合は、痔との合併の仕方や大きさなどを加味し、医師と相談した上で、切除を検討することをおすすめします。幸い、肛門ポリープの切除は局部麻酔下で実施できることが多いため、日帰りで完了することが多いです。日常生活への影響も考えて、肛門ポリープの切除が必要か、医師とよく相談しましょう。

平田悠悟プロフィール(平田肛門科医院 副院長)
1982年 東京都生まれ。
筑波大学医学専門学群卒業。東京大学大腸肛門外科入局後、東京山手メディカルセンター大腸肛門病センターに出向し、
大腸肛門病の専門医としての豊富な臨床経験を積む。
2020年 東京大学大学院医学系研究科外科学専攻医学博士課程修了。
現在は平田肛門科医院の副院長。