Dr.Hipsが語る〜痔を知り、楽に治す方法〜
おしりの医学#143「ゆるい便が続くと肛門は狭くなる?酸化マグネシウム剤は続けて大丈夫?」
YouTube番組・視聴者様からのご質問に回答します。
ゆるい便(軟便・泥状便)が続くと肛門が狭くなる?
これは明らかに間違った情報です。
ゆるい便が続くこと自体で肛門が狭くなることは決してありません。
むしろリスクが高いのは切れ痔を繰り返すケースです。
切れ痔が治っては切れて…を長期間繰り返すと、徐々に肛門が狭くなり、肛門狭窄を引き起こすことがあります。
狭窄が進行すると、小指が通らないほど狭くなり、排便が非常に困難になるため、多くのケースでは手術が必要となります。
酸化マグネシウム剤の長期使用は大丈夫?
酸化マグネシウムには、規格として250mgと330mgがありますが、非常に少量、例えば330mgの半錠程度であれば、問題なく続けても大丈夫です。
酸化マグネシウムの働き(原理)は非常に単純で、マグネシウムが浸透圧で腸内に水分を引き込み、便を柔らかくしるというものです。
副作用としては、高用量・長期間の使用による「高マグネシウム血症」のリスクがありますが、これは主に透析患者や高齢者に限られ、通常の人ではほとんど心配ありません。
下剤使用の理想的な考え方
すべての下剤は、原則的に腸内環境にとって多少の悪影響を及ぼします。
理想的には「下剤に頼らない」を心がけてください。
まずは以下の生活改善を優先させましょう
•食物繊維をしっかり摂る
•ビフィズス菌・酪酸菌などの善玉菌を摂る
そして、それでも便秘が改善しない場合には、酸化マグネシウムなどの下剤を使用するのがおすすめです。
ただし、ご質問の様に、現在、少量の酸化マグネシウム剤で効果が感じられ、うまくいっている場合にはそのまま継続しても大丈夫です。
平田悠悟プロフィール(平田肛門科医院 院長)
1982年 東京都生まれ。
筑波大学医学専門学群卒業。東京大学大腸肛門外科入局後、東京山手メディカルセンター大腸肛門病センターに出向し、大腸肛門病の専門医としての豊富な臨床経験を積む。
2020年 東京大学大学院医学系研究科外科学専攻医学博士課程修了。
現在、平田肛門科医院の4代目院長。
平田雅彦プロフィール(平田肛門科医院 名誉院長)
1953年 東京都生まれ。
筑波大学医学専門学群卒業。慶應義塾大学医学部外科学教室に入局し、一般外科を研修。
社会保険中央総合病院大腸肛門病センターに入り、大腸肛門病の専門医としての豊富な臨床経験を積む。
現在、平田肛門科医院の名誉院長。